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第18話 命side

カレーの材料と冷凍商品とをかごに入れてレジにいこうとお菓子のコーナーを通る。 そういえば…ユキに菓子の一つぐらい買ってやるか。多分、外に出るのが嫌なのを頑張ってついてきてくれたんだと思うし。 「ユキ、この中から好きなの選んでいいよ」 「…この中?」 「ああ。お菓子、食べたくねえ?」 そう言うと目を輝かせてお菓子コーナーの端から端までを見て回るユキ。ちょっと時間がいるかな、と俺も俺でポテトチップスをかごに入れてユキを待っていた。 「…これ、チョコレート…」 「ん、他はいらない?」 「いらない…僕の…チョコレート」 そんなにチョコが嬉しいのか、ユキはかごには入れずにそのままレジに並んで店員にそれを手渡しする。店員はそれを受け取り機械に通すとテープを貼ってユキに渡してくれた。ユキはそれが嬉しかったのか「ありがとう、ございます」と笑って伝えていた。 「帰るぞ」 荷物を袋に入れ終わってかごを直す。ユキはすかさず俺の手を握ってきて俺もその小さな手を握り返した。 チョコのせいで行きは静かだったユキは今はもう「チョコレート…チョコレート…」と手の中にあるチョコを見てはにこにこしていた。 「着いたぞ」 「早いぃ」 ベルトを外してやると急いで車を降りて俺が来るのを待っている。荷物を持ってユキのところに行くと手を繋いでマンションのエントランスに入った。 部屋に入ると一目散にリビングに行ってチョコを眺めるユキ。 「…チョコレート、食べるの」 「いいけど、その前に手、洗おうな」 大きく頷いたユキは俺が案内した洗面台でしっかりと手を洗って「綺麗なった…?」と手を見せてきた。 「おお、綺麗綺麗。もうチョコ食べていいよ」 「やったぁ!」 チョコくらいで喜ぶユキは今までどんな生活を送っていたのか、俺は知らないし、自分からわざわざ聞くつもりはない。言ってくれるまで聞かないつもりでいる。 そんな俺はきっと冷たい人間なんだろう。

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