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第21話
軽快な音楽が洗濯を終了したと知らせてくれる。座ってテレビをボーッと見ていた俺はすぐにテレビを消し、立ち上がって洗濯機の中から洗い終えた洗濯物を取り、かごに入れてベランダに出た。
「寒っ」
夜はよく冷える。いつもより少しだけ多い洗濯物。干すまではいいけれど、明日これを畳むのは面倒だ。
そういえば明日は組の方に行ってユキの服を取りに行かなければいけない。面倒臭すぎて何をするにもやる気が出てこない。
「それに、ユキが一人になるし」
さすがに組にユキは連れてけねえしな。
洗濯物を干しながら色々考えるけれど、いい案は何も出てこなくて。
「…どうしようかな」
白い息が浮かんで消えた。
冷えた体を暖めることなくベッドに潜り込んだ。ユキはすやすやと眠っていて、それに何より湯タンポみたいに温かい。ユキを抱き締めて目を閉じると、もうすぐに眠れそう。
「おやすみ」
もう既に眠っているユキにそう言って目を閉じた。
***
「───命、命…」
ユキの声が聞こえて、同時に胸辺りをトントンと叩かれてのを感じ目を開ける。俺の腕の中にいるユキは目をぱっちり開けて俺を見ていた。
「…ユキ、おはよう」
「おはよう、ございます」
カーテンの隙間から日が漏れている。今は何時だ。時計を見れば午前7時。
「早くねぇか…」
「起っきしよ!」
「あー…おう」
ユキを離してベッドを抜けひんやりした床に足をつける。寒い。
「お腹、グゥって言ったの」
ユキの腹は早く飯を寄越せとお怒りらしい。仕方なしにキッチンに行ってまたトーストを焼く。その間に二人でトイレに行って歯磨きをして。
「ユキ、できたぞ」
「ご飯、ご飯…!」
「いただきますは?」
「いただきます…!」
ユキと一緒にトーストをかじりながらどうするかを考える。やっぱり留守番させるしかないよなぁ。
「ユキ、俺今日行かなきゃダメなとこがあるんだよ。だから…一人で留守番してくれないか?」
「…ひと、り?」
ユキはかじっていたトーストをポトッと落として俺を涙目で見る。
「ああ」
「……留守番したら、命、誉めてくれる…?」
「え?あ、そりゃあ…」
「じゃあ、僕、頑張る」
涙目のまま笑うユキを見て、何だか俺まで寂しくなってくる。
「帰り、菓子買ってきてやる」
「本当ぉ…?」
「ああ。」
そう言えばユキは嬉しそうにまたむしゃむしゃとトーストをかじっていた。
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