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第31話
ユキを膝に乗せたままテレビを見ていた。暖かい体温なユキのせいで俺まで眠たくなってくる。
「上がりました…っと、命さんー?起きてますぅ?」
「おう、じゃあ俺達も入るかな。…おーい、ユキ、起きろ」
ユキを抱きながら立ち上がり着替えを取りに部屋に行く。
「ユキ」
「…ん、むぅ…」
「起きろ」
俺の肩に顔を擦り付けてまたそのまま寝ようとするユキの背中をポンポンと軽く叩く。
「…僕、寝んね」
「じゃあ明日一人で風呂入れるか?」
「やだっ」
「なら起きろ、風呂入るぞ」
いやいや目を覚ましたユキはいつもみたいに笑ってない。どうやら拗ねてるようだ。
「服脱いで」
「んー…命ぉ」
「何?自分で脱げねえの?」
「うん」
「じゃあほら、腕上げて」
言う通りに腕を上げたユキから上の服を脱がせて、下も脱がす。下着だけは自分で脱ぐと言うので俺は先に風呂の中に片足を入れる。
「待ってぇ」
「待ってるよ」
泣きそうになりながら下着を脱いで俺に向かい腕を上げたユキに苦笑が漏れる。
「風呂の中まで抱っこか?」
「んー…」
寝起きはどうやら甘えたになるらしい。仕方なしにユキを抱っこして二人でシャワーを浴びて浴槽に浸かった。
「温かいね」
「おう」
ユキの肌が触れてる部分、そこが余計に熱い気がした。
***
「ほら、ちゃんと拭け」
「僕、だめ、何も出来ないの…」
「そんな事ねえって。」
シュン、としてるユキの体を拭いて服を着せる。鳥居はパジャマも買っていたらしく、ふわふわとした肌触りのいいそれをユキに着せる。
「ふわふわ、してる」
「気持ち良さそうだな、これ」
「気持ちぃ…」
やっと笑ったユキはふわふわした優しい肌触りのそれを握ってフワリと一回転する。
「鳥居に礼言えよ」
「れ、い?」
「ありがとうって言えよ」
「うん」
パタパタと鳥居のところへ走っていくユキを横目に、自分の濡れた髪をわしゃわしゃと拭く。
リビングから「夕くん…!」と言うユキの声と、二人の笑い声が聞こえてきた。
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