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第39話

目当てのスケッチブックと色鉛筆、それとクレヨンを買ってユキは満足したようだ。 両手でそれを大切そうに抱え、車に乗って家に帰る。 部屋に入るとさっそく靴下を履きたいとユキが袋を丁寧に開けた。 「値札切るから貸してみろ」 「僕、自分で、する」 だからハサミを貸して、と掌を俺に差し出してきた。 「怪我すんなよ」 「うん、しないよ」 せっせと値札を切り黄色のそれを履いたユキは俺に笑顔を向けてくる。 「それ履いてるときは走るなよ」 「どうして…?」 「滑るから」 素直に頷いて次は絵本がいいと俺がテーブルの上に置いてあったそれユキに渡してやる。そしたらまた袋を丁寧に開けて中の絵本を二冊取り出し、くまの絵本から開けていく。 「くまさん」 「DVD、ここ置いとくぞ」 「あ、お絵描き、するの、絵本読んだら、するの」 「ああ、じゃあここに置いとく」 DVDをテレビの横の棚に、お絵描きセットはテーブルの上、やっぱりユキが自分で開けたいだろうし、袋に入ったままそこに置いた。 「いっぱい…僕の…」 「そう、お前の。だから好きに使えよ」 「ありがとう、ございます」 くまの絵本を抱き締めて満面の笑みを見せてくれた。 本を読み終えたらしく、お絵描きのセットをテーブルの上に広げる。テーブルの席についてた俺はユキが何を描くのか気になって聞いてみた。 「何描くんだ?」 「だめぇっ!」 絵が見えない様に俺の目の前に両手を出す。なんだお前、生意気。 でもそうされると盗み見なんて出来ないので、俺は俺でコーヒーを淹れ、ボーッとする。 「見ちゃ、だめ」 「…見てねえよ」 何ならソファーの方に行ってやろうか。そう思って立ち上がったらユキが不安そうに俺を見てくる。 「怒った…?」 「怒ってない、ユキの邪魔しないようにソファーに行こうと思って。」 「…邪魔…違う…」 「そう?」 「…ここ、いて…ほしい」 そんなことを言われて向こうに行くやつなんていねえだろ。と思うくらいに寂しそうな声で言うからすぐに席に戻って、そこでまた同じ様にボーッとする。何をそんなにせっせと描いているんだろう。 どんな物が完成するのか楽しみで、時々携帯を弄りながら待っていた。

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