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第41話
昼からは鳥居に連絡したり、明後日の準備で荷物をまとめたり、掃除をしないと、と思い掃除機をあてたり、ユキは掃除機が嫌いなようで、リビングにそれを持ってきた時すぐに寝室に逃げて行った。
「ユキ、リビング掃除機かけたから…って、寝てるし」
ベッドの端で小さくなって眠るユキ、布団もかけてないから風邪をひいちまう。
「寝かせてやるか。」
午前中たくさん歩いたもんな。ベッドの真ん中に移動させて布団をかけてやった。
寝室を出てユキが来てからは吸っていなかった煙草が吸いたくなり、口に咥えベランダに出てから火をつける。
満たされる感覚、しばらくして座り込みベランダに置いてある灰皿に煙草を押し付ける。
煙草は仕事の前とか何か落ち着かないときは吸ってしまうことがある。
ユキがいるんだから、もうやめた方がいいのかな、と思いながらふぅ、と息を吐いた。
煙草を吸って落ち着いたら何だか眠たくなってきた。室内に入って俺も寝ようとベッドにいるユキの隣に寝転び、ユキを抱き締めて眠りに落ちた。
***
「お前に帰ってきてもらっても困るだけだ」
「お前を引き取ってくれる人がいるなんてなぁ…すごく助かるよ」
好き勝手言葉を並べる男_俺の父親が白い部屋で俺に荷物を渡して、俺を一人にして出て行った。
あの人、あんなこと言ってたけど、来てくれなかったらどうしよう……と、そんな不安な気持ちでいっぱいな、まだまだ幼い俺。
白い部屋に一人。
ひとりぼっち。
そんな、昔の記憶。
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