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第42話
バッと目が覚めた。またあの白い夢が俺の心臓の動きを早くする。
なのに、隣にユキがいなくてますます焦った。慌てて寝室から出ようとしたらバランスを崩して、足の小指をドアの隣にある棚にぶつけ、激痛のあまりその棚に体当りしてしまい倒してしまう。
「────っ!!痛てぇっ…」
片付けるのは後にして、小指…!本当折れてんじゃないかってくらい痛い。
けれどその痛みのおかげで冷静になった頭。
蹲ってから少しして立ち上がり、部屋を出てリビングを見渡すけどユキはいない。もしかしてトイレか?とトイレの前まで来ると隙間から光が漏れていてそこにいるのがわかり、コンコン、とノックをする。
「ユキ?入ってんのか?」
入ってるのは知っているけど。少し待てば消え入りそうな声が聞こえてきた。
「みこ、命……ドロボーさんいる……ガシャン言ったの…」
「ガシャン?」
泥棒?ガシャン?
そんな勘違いをさせるような音は───いや、今、ついさっき、小指をぶつけた時に棚を倒した。きっとその音のことだろう。
「ユキ、大丈夫だ。さっきの音は俺が棚を倒しちまったの」
「そうなの…?」
棚を倒した音は確かに結構大きかったはず。痛みでそれどころじゃなかったけれど、ユキはそれが泥棒だと思って怖くて出てこれなかったようで。
ゆっくり開いたドア。俺を見上げてからユキはすぐに俺に抱きついてきて、そんなユキをすぐに抱っこした。
「悪かった、怖かったんだな」そう言って頭を撫でてやるとふんわりと笑う。
「ユキがいなくて焦った」
「僕、おしっこ…行きたくて…」
そうだよな、あんな夢見たからって、ユキまでがいなくなるわけじゃない。そう思ってるとピトっと俺の額にユキの小さな手が触れる。
「何?」
「命、お顔白い…しんどいの…?」
「いや、全然」
もしそれがさっきの夢のせいなら、納得がいく。
「しんどい、休んだら治るの」
「しんどくないから大丈夫。ありがとな」
ユキの頬をするりと撫でた。
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