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第45話 ユキside
バタンってドアが閉まって、お家には僕と夕くんと2人きり。
「ユキくん、寂しくない?」
「僕…寂しい……でも、夕くんいる…だから、大丈夫なの」
「そっかぁ!じゃあ俺と遊ぼう?何する?」
何しようかな……この前命が買ってくれたDVDが見たいな。
「あのね、これ、命買ってくれた…見たい……」
「DVD?ってこれ俺の好きなやつじゃん!」
夕くんはすぐにDVDをつけてくれて僕と一緒にソファーに座ってそれをみる。
「俺ね、このDVD初めて見た時、意味がわからなくて、命さんに聞いてたんだよね」
「そうなの…?」
「うん。命さんはね頭いいから、ちゃんとわかるって」
それから、僕も分からないことがあって、それを夕くんに聞いて、ゆっくり楽しい時間が流れる。
そのDVDは面白くてずっと見ていても嫌じゃかった。
そうやってDVDを見ているともうお昼の時間になった。今日は夕くんがご飯作ってくれるんだって!楽しみで、僕のお顔は勝手に緩んじゃう。
「何が食べたい?」
「うーんとね、うんと…卵…オムライス…」
「オムライス?わかった!じゃあちょっと待っててねー!」
夕くんがご飯を作りにキッチンに行く。一人は寂しいから僕も後を追いかけて行くと「どうしたの?」って優しく聞いてくれる。
「ひとり、寂しい…」
「…わかった!じゃあここに椅子持ってこようかー!ユキくんと話ながらご飯作ろっかなー!」
「うん!」
夕くんがキッチンに椅子を運んでくれてそこに座って夕くんの作るオムライスをジーっと眺める。
「ユキくんって、お母さんいるの…?」
そしたら突然お母さんがいるのか聞かれてびっくりした。
「僕、お母さん…いる…でも、お母さんは…そうじゃない、言うの…」
「ユキくんのお母さんじゃないよって?」
「うん、だから、ご飯くれない……しんどい、でも助けてくれない…お話しても……聞いてくれない…」
お腹が空いても何もくれなかった。何も話を聞いてくれなかった。僕がしんどくなって、体がいつもより熱くて、頭が痛くなって気持ち悪くなっても助けてくれなかった。
「…そっかぁ」
「命は、優しいの…夕くんも、早河さんも……僕にお話ししてくれる…優しい、ご飯もくれる……だから、好き。命も、夕くんも、早河さんも好き…」
「俺もユキくん好きだよー!大好きだからね、嫌なことがあったら教えてほしいな!俺達がユキくんの嫌な事を無意識のうちにしないようにしたいんだ」
難しい言葉だけど、僕に嫌な事をしないようにしてくれるんだよね……?でも夕くんは優しいから僕の嫌なことなんて絶対しない。
「夕くん、嫌なこと、しないよ…?」
「うん、でもね?教えてほしいなぁ」
「うん」
じゃあ僕の嫌なこと話すね。
ちょっとだけお胸が苦しくなるけど、でもそれは我慢。だってお友達の夕くんが話してって言うんだもん。僕、頑張れるよ。
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