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第47話 命side

たくさんの組の組長や若頭が長い机にそれぞれ座っている。堅い空気、あんなにうるさい八田や赤石、中尾も静かだ。 偉い人の話が終わり、飯を食いながら談笑している。その後ろに立つそれぞれの組の幹部達。彼らは言葉を発さない。話したとしても同じ組の幹部同士でこそこそしてるくらいだ。 「おい、命、お前緩みすぎだ」 「あ、悪い」 中尾に言われてまた顔に力をいれる。だってさ、日頃からこんな顔してねえから疲れるんだよ。 「命」 「はい」 親父に呼ばれて近付けば頭をグイっと軽く押される。 「ちゃんとしろ」 「すみません…」 頭を下げてまた後ろに下がった。 ダメだ、ユキと暮らすようになってからあいつを怖がらせないようにと気を張ることなんて滅多にしなかったから、感覚がわからなくなっている。 そんな感じで会議は進んでいき、外が暗くなってから解散になった。 解散といってもこのホテルに全員が泊まるんだけど。 今日一日は交代制で親父と若の部屋の前で警護をしていないといけない。 俺と八田は夜中の1時までそれを続け、赤石と早河と交代して、その後、俺だけ家に帰る予定。 警護をしていると携帯が震えて確認すると鳥居からのメッセージが。 それを開けるとユキと鳥居のツーショットの写真がいくつか添付されていてユキはどの写真でも固い笑顔をしている、もしかしたら写真が苦手なのかもしれない。 簡単に返信をして溜息を吐く。あと三時間はこのまま。 「黒沼ぁ、顔にやけてんぞ」 「うるせえ」 ユキが固くても笑ってることに安心したのか何なのか、頬が緩んで仕方ない。 「早く帰らねぇとなぁ」 ホテルの静かな廊下。 独り言がやけに響いた気がした。

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