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第59話 ユキside
僕のお母さんはとっても綺麗な女の人。
でもそんなお母さんから生まれた僕はお母さんに似てなかった、僕はお父さんにそっくりらしくて、お母さんは僕が嫌いだっていつも言ってた。
「…お母さん……お腹、ぺこぺこ…」
「うるさい」
「…でも僕のお腹……」
「うるさいって言ってるでしょう!!」
バチって叩かれた頬っぺがジンジンしてて熱い。ごめんなさいって謝ったら、またバチンされるかな…何も話しちゃダメ…静かにしないと…!
お母さんがいるところから離れて板の冷たい所で静かにしてるしかなかった。
「汚いわね、風呂入りなさいよ」
「え……?」
ずっとお風呂に入ろうとしたら怒ってたお母さんが、急に風呂に入れって言う。いいの?って聞こうとしたら後ろの服の襟を掴まれてそのままズリズリ引っ張ってお風呂場に投げられた。
「…い…たい…」
涙が出そうな僕にお母さんは思いきりシャワーで冷たいお水をかけてきてビックリして体がギュッて小さくなる。
「しばらく出てこないで、鬱陶しい」
「え…?えっ…お母さ…お母さんっ」
お風呂のドアが閉められて外からガチャっと鍵をかけられて僕はそこから出れなくなった。
お風呂の中からその鍵は開けられるんだけど、それは高いところにあってチビな僕はなかなか届かない。
「さ、むい…寒いよ……うっ、ひっく」
お湯はないのかな、お湯…でも勝手に使ったら怒られちゃう…どうしよう、寒い…寒くて、怖い。
床にぺとんとおしりをつけて体を温めようと自分で体をさすさすするけど全然温かくない…!どうしよう、ボロボロって出てくる涙が止まらない。
座っているのがしんどくて、床にゴロンって横になる。
頭がボーッとして動けなくなった僕。死んじゃうかな、このまま死んじゃえたらいいのになぁってそこで眠ってしまった。
なのに僕はすぐに目を覚ましてしまって。起きたときにはまだお風呂場にいたけど、いつの間にか鍵は開いていて、外に出ればお母さんがいつもみたいにテレビを見ていた。
「…お母…さん…」
「何よ」
「…僕…しん、どい…」
頭がガンガンする。痛くて体がしんどくてお母さんに助けてって言うけどお母さんは僕を見てもくれない。
このままお母さんに見てももらえずに死んじゃうのかな。体がしんどい、立ってるのが辛い。
「…たすけて………」
小さな僕の声は誰にも届かない。
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