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第63話
「じゃあ、夜迎えに来るから。…トラ、頼むな」
「いいわよー!ユキくん可愛いもの!」
「いって、らっしゃい…」
「おう、いってきます」
ユキをトラの所まで送ってから、すぐに組の方に向かう。厳つい門の前に車を止めると中から組員が出てきて、そいつらに車を預け俺は中に入って、そこにいた組員と言葉を交わしながら幹部室に行く。
中から聞こえるうるさい声。少し躊躇ってから入ればバカ3人と早河がいた。
「あっれ?みっちゃん今日から復活?仕事するの?ユキくんは?」
「早河に言われてな。ユキはトラのところ」
「ええ!?ユキくん大丈夫かなぁ…?トラに襲われたり」
「トラは子供相手にそんなことしねえよ」
ユキが高校生くらいならちょっと危ういかもしんねえけど。トラは男が好きだし。
「今日の俺の仕事、何?」
八田が早河の腕をツンツンと人差し指でつつく、それを面倒な目で見ながら、それぞれに指示を出す早河は最後、俺に資料を渡してきた。
「何だこれ」
適当に目を通していくと、それはユキの情報だった。
「……テメェ、調べたのか」
「ああ。指示も入ったしな」
「…チッ」
「ユキくんを一時的に預かるにせよ、これからずっと一緒にいるにせよ、ユキくんのことを何も知らないままじゃ一緒にはいれない。それにまだユキくんは14歳だ。学校にも通わせてやらねえとユキくんが可哀想だ。」
当たり前のことを言われて黙った。そりゃあ早くに学校に行かせてやってっていうのが理想だろうけど、その前にユキの母親のことだってあるだろうが。
「ゆっくりでいいから、少しずつ前に進まねえと、長くは一緒にいれねえよ」
「わかってるっつーの!」
ソファーにドカッと座る。煙草が吸いたくなって、それを忘れたのを思い出してイライラする。
「煙草忘れちゃったの?飴ちゃんあげよっか?」
「いらね」
赤石の食べていた飴が、赤石の口の中でカラコロと音を立てた。
それから仕事の内容を聞いて、それをすぐに終わらせ、幹部室でゆったり過ごす。
「黒沼ぁ、お前の終わったなら午後から手伝えよ」
「…何すんの」
「裏行って調べごと」
心底面倒臭そうに八田がそう言い、俺に「煙草やるから手伝え」と1箱投げて寄越す。
「わかった」
「俺痛いの嫌だから、殴られそうになったら庇って」
「嫌だ」
赤石と中尾は午前の内に自分の仕事を片してくると組を出てる。
そういえばもう少しで昼だ。ユキは弁当をちゃんと食べてくれるだろうか。
帰ったらまず、一番に弁当の感想を聞こう。
そう考えるだけで、頬が緩んだ。
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