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第68話

「トラさん…あのぉ、僕、お手伝い…出来なくて、ごめんなさい…」 トラさんとお部屋に帰ってきて、ソファーに座った僕は目の前にいたトラさんにそう言ってちゃんと謝ることが出来た。 「何言ってるの!お手伝いしてくれたじゃない!」 「でも、僕…ダメダメだったの」 ソファーに座ってお膝をじっと見る。そしたらトラさんが僕の頭を優しく撫でてくれた。 「ダメなんかじゃないわ。ユキくんはお手伝いしようとしてくれたでしょ?私ね、それだけでもすごく嬉しいの」 「本当…?」 「本当!それにちゃんとタクミにお薬渡してくれたでしょう?だからユキくんはお手伝いも出来る優しい子なのよ!」 ギューって抱きしめられて嬉しくて僕もトラさんをギューってする。 「お手伝いしてくれてありがとう」 「んふふっ」 知らない間に僕はたくさん笑ってた。 それからトラさんとたくさんお話をしたり、お絵かきをしたり、全然進んでくれないって思ってた時間は気がついたらたくさん進んでいて、もうちょっとで命に会えるかなぁって、僕の頭の中は命のことばっかり。 「命、お仕事大変なの…?」 「そうねぇ。凄く大変だと思うわ」 命のお仕事が気になってトラさんに聞いてみたら、すごく大変なんだって。じゃあ、お迎えはもっともっと遅いのかもしれない。やっぱり、寂しい。 「でもね、命って凄く強いから、大変な仕事もちゃんと出来るのよ」 「命、凄いねえ」 今日もお仕事たくさん頑張ってるのかな。 命がお迎えに来てくれたら、ちゃんとありがとうって言わなきゃ。 命はお仕事で疲れてるんだもん。なのに、僕のことを迎えに来てくれるの。だからありがとうって、言って、大好きを伝えるの。

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