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第74話

今日の分の仕事を終わらせ、午後4時にはもう組を出てユキのもとに向かっていた。今日も弁当喜んでくれたかな。ついた建物に入ってトラの部屋へ。 「ユキ」 「あ、命…!」 「ただいま」 「おかえり、なさい…」 ユキが俺に飛び付いてきて、その後ろから「私もー!」と抱きついてこようとしたトラを制しユキのことに対して「ありがとう」と礼を言う。 「お弁当、オムライス…だった…」 「うまかった?」 「オムライス、僕、好き…おいしい…」 リュックに荷物を詰めてそれを背負ったユキは俺の手を取り、そのままギュッと握ってくる。 「…アヒルさんと、僕のカバン…」 「おう、買い物行くか」 トラに手を振って建物を出て車に乗り込む。ユキはもうシートベルトを着けれるようになって、少しだけ成長した。 「アヒルさん…カバン、アヒルさん…」 「はいはい、ほらそれはちゃんと持つか、下に置くかしろ」 「はい…」 ぎゅっとリュックを抱き締めたユキはフフっと笑って足をバタつかせた。 大きめのショッピングセンターに来てとりあえずおもちゃ屋に足を運んだ。 「あ…アヒルさん…!」 「いたか?」 「これ、これ…!」 アヒルのおもちゃが4匹入ってるネットを指差してその場でピョンピョン跳ねる。そんなにもこのアヒルがお気に入りになったらしい。 「それでいいのか?他にも風呂で遊ぶだけのじゃなくて…リビングで遊べるのとかも見ていいよ」 「…リビング…おもちゃ…」 うーんと頭を悩ませるユキ。 「…僕…わからない…」 「んじゃ、欲しくなったときにまた買いに来るか」 「うん…」 結局アヒルだけ買って次はユキのバッグを見にバッグ専門店に入った。 「どれがいい?」 「…ん…ん…」 辺りをキョロキョロ見回してでもよくわからないらしいユキは首をふるふる横に振るだけ。 「僕、カバン…これで、いいの」 「でもそれユキにはデカいだろ」 「これ…好き…」 そう言って背中に背負ってるリュックに腕を回しぎゅっと抱きしめた。 「わかった。じゃあお菓子とかご飯の材料買いに行くか」 「お菓子!」 「おう、買ってやる」 ユキと手を繋いで店を出た。

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