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第77話
朝陽がカーテンの隙間を通り、ちょうど俺の顔に当たる。
いつもより少し遅く起きてしまった。隣にはまだユキがすやすやと眠っている。
昨日のこともあって、今日は少しユキの様子を伺ってから家を出ないとな。と思い早河に遅くなると連絡をいれようと携帯を取るとメッセージが入っていることに気付く。
メッセージはトラからで、今日はユキの隣にずっといろと言うもの。つまり、休めってことだよな。
まあ、それが一番いいのはわかっているから、躊躇うことなく早河に休むと連絡を入れ、携帯を手から離した。
眠るユキをよく見れば、目元が少し濡れている。
夢でも泣いたのか。何だか俺が苦しくなってきて、ユキを抱きしめ、小さな頭を撫でる。
「泣くな…」
そうして、ユキの額にキスを落とした。
ユキは起きそうになかったから、俺ももう一度眠ろうとした。けれどユキはもぞもぞと動き出す。
「…ん…むぅ…」
一度体を小さくしてからフッと力を抜き、ゆっくりと目を開けたユキ。顔を上げて俺を見たかと思えばフニャっと笑った。
「おはよ」
「ん、ん…おはよ…う…」
目を擦って眠たそうにしているユキを起こして朝御飯を食べさせてから、昨日風呂に入らないまま寝てしまったユキと風呂に入ることに。
「アヒル出そうな」
「アヒルさん…!」
袋に入れっぱなしだったアヒルを出して着替えを持ち風呂に向かった。
「プカプカ……アヒルさん…気持ちぃ…?」
お湯に浮かぶアヒルに話しかけるユキはいつもより楽しそう。髪や体を洗い終わるとまたすぐにお湯に浸かりアヒルに話しかける。
「ふふっ」
「気に入ったか?」
「…うん、僕…アヒルさんとお風呂好き…」
いつもと同じように笑うユキを見て少し安心した。
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