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第87話

布団をちゃんとかけてやってからリビングに帰るとユキと赤石が二人とも頬を膨らませて如何にも怒ってますみたいな態度をとっていた。 「何してんの」 「聞いてよみっちゃん!!ユキくんひどいんだよー!俺の事好きじゃないとか言うの!!」 「僕、赤石さんは…好き、ならない…」 「ほらー!!みっちゃんユキくんを叱って!メッ!そんなこと言っちゃメッ!」 「…はぁ。」 ユキが赤石を嫌う理由は知ってるから怒るに怒れないし、まず今のどこに怒らなきゃいけないのかわからない。嫌いなら嫌いでいいと思う。 「ユキ、ちゃんと飯食ったか?」 「食べた!ごちそうさました…!」 「そうか、偉いな」 食器もキッチンに運んだようで、えへんと胸を張るユキを誉める。赤石は顔を赤くしてまたユキに絡んで、でもユキは絡んでくる赤石をメッ!と怒っていた。 何で怒ってるのさぁという赤石を困ったように見てから俺をジーっと見つめるユキ。それで理由がわかったらしい赤石はワーワーと騒ぎ出す。 「何?俺がみっちゃんと仲が良いから怒ってるの?」 「赤石さん…お仕事、命と一緒」 「ブッハハ!!それだけで俺の事嫌いになっちゃうのー?ユキくん心狭いなぁー!」 「心…狭い?」 「んー?優しくないねって」 「僕、優しくない…?」 「優しくないー!みっちゃんもユキくんの事いつか嫌いになっちゃうよ?」 そう赤石に言われた途端ユキの顔は絶望したような、まさにガーンという感じで俺を見てきた。 「命、僕…嫌い…?」 「嫌いじゃない」 「嫌いになるの…?」 「…赤石、お前なぁ…」 「命、僕嫌い…やだぁ」 今日で何回目だよ。と言いたくなってしまう。またユキは泣き出してそれを見て赤石が笑っていて。酔っていたとしても許さねえぞ。 「ユキぃ、嫌いじゃないって。好きだよ」 「好き?僕、好き?」 「好き。だから泣くなって」 「ん、ん…」 今日はもう出張の事は言えない。 というかユキがこんな様子じゃこの仕事は無理かもしれない。 どうしたらいいんだよ、と悩む俺の後ろで笑う赤石を潰したくなった。

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