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第90話 ユキside
朝起きると優しい顔をした命が僕をぎゅーってして眠ってた。お顔とお顔が近くてドキドキする…!
命に早くおはようが言いたくてお鼻をピトってくっつけてから、命の口に僕のお口をくっつける。だけど命は起きない。…うーん、どうしたら起きてくれるかな、僕お腹もすいちゃったぁ。
ぎゅーってされてるから命の体をユサユサできないし、命って呼んでもお目目開けてくれないし……って命のお目目を見ていたら少しだけ濡れてる。もしかして、泣いてるのかな…?
「泣かないで…」
いつも僕が泣いたら命は泣くなって言う。だから僕も命に泣かないでってお願いした。だって僕、命が泣いてるのは嫌だもん。悲しくなっちゃう。
命の閉じられてるお目目に触るとピクッと震えて僕はビックリして手を離す。ゆっくりお目目を開けた命は僕をボーッと見て掠れた声でおはよって言ってくれた。
「ぁ、お、おはよう、ございます…」
お目目に触ってた手を命の頬っぺにピトっと当てる。何?と僕を見てからまた目を閉じて、また寝んねするのかな…?
「寝んね、するの…?お仕事、ない…?」
「…寝んね…仕事……しご、と……仕事!?」
飛び起きた命が今何時だ!!と部屋を見渡す。短い針が8をさしてる、長い針は3。それを見るとやばい!!と慌てて部屋を出ていく命。僕も命を追いかけてお部屋を出た。リビングには誰もいない、もしかして夕くんも赤石さんもまだ寝んねしてる…?
「鳥居!!早く起きろ!!」
「っるせぇッ!!」
「うるせえじゃねえんだよ、遅刻すんぞ!!」
向こうのお部屋から夕くんと命のいつもより怖い声が聞こえてくる。遅刻?お仕事に遅刻、大変だぁ。
「ユキ、顔洗って服着替えて待ってろ」
「はい」
夕くんを起こして今度は赤石さんを起こしにいくのかな、僕は言われた通り洗面所にいってお顔を洗ってから服を着替えた。
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