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第97話

カーテンから漏れた光が眩しい。目を覚ましたベッドの中、ユキを抱き締めてその光を見ていた。 ユキはまだ起きそうにない。弁当作らないとな、とユキを離して体を起こしぐぐっと伸びをする。少しひんやりして冷たいフローリングに足を落としては小さく震えた。 「……みこ、と、みこと…おはようございます…」 「ああ、おはよう」 起きてきたユキと朝食をとって準備を済ませ少し休んでから仕事へ。その前にユキをトラのところに下ろし帰りはそのまま買い物だぞと車の中から言い手を振ると嬉しそうに手を振り返してきた。 「おはよ…」 組について幹部室に入ると早河しかいなかった。 「何かあったのか?あいつらいないけど」 「いや、何もない」 「そうか。…若は?学校か?」 「ああ、明日出張だから今日は行ってくるってよ」 「そっか」 普段からちょくちょく休んでるからちょっと危機を感じたのだろうか。そりゃあ留年なんてことになったら組関係でいろいろ面倒なんだろう。 「さぁて、仕事するか」 頬をパンと叩いた。 ───······なのに、こういう日に限って仕事がない。ということで俺は組員達と最近何もしていない鈍った体を鍛えに組の端っこにある道場に行くことに。 スーツじゃなくて楽な格好に着替えて道場のドアを開けると鳥居と、手合わせをしてる奴等が何人かいた。 「あれ?命さんじゃないですかぁ!!」 「ああ」 「今からやるんです?俺が相手になりたいー!」 ハイ!ハイ!と手を挙げる鳥居につられるように手を挙げる組員達。どうしたらいいのかわからなくてとりあえず一番だったし…と鳥居を選んだ。 「誰か合図言って」 「いい、0で始めるぞ。ほら、3、2、1……」 ゼロ。そのタイミングで鳥居の足が俺の顔の横にあった。慌てて後ろに下がり攻撃をしようと、こちらに寄った鳥居の横腹を蹴るために勢いをつけた足を出す。けれど、すぐさまそれを避けて拳をつき出してくる。それを飛び退けて少し休憩。 本当に体が鈍ってるようだ。それに鳥居のことをなめていた。鳥居を睨み付けるとこちらを見て笑っていて腹が立つ。 「命さーんちょっと弱くなった?それとも本気じゃない?」 「うるせえなぁ」 挑発までしてきて、本気でやってやる、と首をコキっとならした。

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