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第99話
「あっちぃ…」
風呂からでて体をタオルで拭く。上はシャツを羽織るだけ羽織って下はしっかり服を着て少し熱の籠る脱衣場から逃げるように出た。肩にかけているタオルで髪を雑にガシガシと拭く、そのまま幹部室に戻れば赤石にニヤッと笑われ、早河に怪訝な顔を向けられる。
「服はちゃんと着ろ」
「あっちいもん」
「…髪もちゃんと乾かせ」
「面倒だし」
はぁ…と息を吐きながらソファーに座ると、赤石が滑るように俺の隣に座ってきて、俺はどうやらあからさまに嫌な顔が出てしまったらしい。赤石は笑いながら俺の腹を突く。
「このバキバキな腹筋のみっちゃんをさー」
「……………」
「組敷くのってどんなんだろ。抱きたいなぁ」
「……お前が、俺を…?無理だろ、あったとしても俺がお前をじゃねえか?」
シャツのボタンをしっかりと止めて赤石にジト目を向けると呆れたように溜息を吐かれる。
「ちっっがうよ!!ねえ?早河もそう思うよね?俺がみっちゃんを抱くんだよね??」
「知らねえよ。」
「あー、もしかして…早河がみっちゃんを?…ププッ」
赤石のその言葉でブチンときた。それは早河も同じだったらしい。早河は赤石の口を手で塞ぎ、俺は赤石の頭をガシリと掴んだ。
「下らねえこと言うんじゃねえよ赤石ぃ…この口切り落としてやろうか」
「早河と俺?お前頭イカれてんじゃねえのか」
圧を食らった赤石はやっべぇと顔色を青くして俺たちが手を離してすかさず土下座をする。
「ぎょ…ごめん…」
噛みやがった。そんな赤石を放置し、早く髪を乾かせとうるさく早河が言うから、うるさい音を鳴らしドライヤーで髪を乾かす。だんだん腕が疲れて嫌になって止めようとしたところを赤石がドライヤーを取り、乾かしてくれた。
「やめようと思ってたでしょー」
「ん…」
「寝ちゃだめだよ」
人に髪を乾かしてもらうとすごく眠たくなる。首をカクっとさせるとすかさず赤石が「ダメだってば!」と小言を投げてきた。
「うるせ」
「うるせえじゃないよ!」
「んー…」
程よい暖かさが首かかって気持ちよくて目を閉じた。
ガクンと後ろに髪を引っ張られて目を開けると赤石がにやにや笑っている。ボーッとした頭のまま何だよと睨むと、いつの間にか赤石の顔が目の前にあって慌てて避けようと思ったのに髪を掴まれていて逃げれない。
「んむっ!…っ…テメェッ!」
「寝るのが悪いんでしょー?」
二回目のキスをされた。
早河もいるのに、こいつ…!
「髪、乾いたよ」
「………………」
無視を決め込んだ。
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