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第100話
仕事が終わってユキを迎えに行ってそのままショッピンクセンターに来た。
何度目かのここにはもう慣れたようで、楽しそうに回りをキョロキョロと見て笑っている。
「何買うの…?」
「服に、大きい鞄。」
「僕の鞄、これ…」
「それじゃあ多分入らねえから」
ユキの手を引いてとりあえず服を見ることに。何着かユキの服と下着を選んで買って、今度は前に来たことのある鞄の専門店へ。大きめのスーツケースを買えばいいだろうと適当に決めて早々に買い物を終わらせた。
グゥー音がしてユキを見ると
「あっ…」
と顔を赤くして腹を擦ってる。
「腹へったよなぁ、何か食うか。」
「…でもお家帰ったら…晩御飯……」
「アイスとかドーナツとか、いらねえか?」
「アイス…!」
アイスという言葉に目を輝かせて俺の手をブンブンと振る。その姿が可愛くて、すぐにフードコートに向かった。そこにはたくさんの種類が置いてあるアイスクリームの店をあり、長い行列ができていた。うわ…と思いながらもユキの為に並ぶ。
渡されたメニュー表をユキに見せると驚いて口を大きく開けている。
「たくさん、ある…」
「好きなの選べ」
「えっと、えっと…チョコレート」
「チョコレートな?サイズは?」
「ふつうの…」
順番が来てそれを頼むと愛想のいい店員が笑顔で丸いアイスを作る。ユキはそれを見て目を輝かせていて、金を払いアイスをユキに渡してやると嬉しそうにそれを舐めて頬を押さえていた。
アイスを持ちながら車に向かって、助手席でペロペロと必死になりながらもアイスを楽しむユキ。俺と目が合うたびにニコッと笑っておいしいと伝えてきた。
「ベルトして」
「うん」
カチッとそれをつけてまたアイスを食べるユキを見てから車を発進させた。
「アイスクリーム…おいしかった…」
食べ終わってケフ、と息を吐いたユキはまだ食べたりないと言うように眉をハの字に下げていた。
「また買ってやるよ」
「やったぁ…!」
ユキが欲しいと言うものは与えてやりたい。我儘じゃなくて、うまくは言えないがユキと同じ年齢くらいのやつらが言う"欲しい"と同じくらい、そう言うようなればいいなと思う。
「僕、ほしいほしい、たくさんしてる。…命、嫌いなる…?」
「ならねえよ」
「でも、僕、命のほしい、あげることできないの」
俺のほしいものは何も与えてやれないと思っているようだが、俺はもともと人より欲がないと思うし、あったとしても最近はユキといるだけで満たされているし。
「お前がいたらいいよ」
「ふふ…命、好き…」
「ああ、俺もユキが好きだ」
自然も頬が緩んだ。
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