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第102話
若の部屋の前で声をかけ中に入る俺達。若はしっかりとしたスーツをきていつもとは全く違う雰囲気。がそれは見た目だけだった。
「早河!!早河!!なんだその子供は!!かっわいいな!!お前のガキか?結婚してたっけ?してねえよな。お前仕事一筋だもんな!!」
「この子は命の…」
「えっ?命の?命だって結婚してねえだろ!だって聞いてねえもん。」
「命と今一緒に暮らしてるんです。で、出張の間この子を一人にできないからと連れてきてるんです。…ってお前言ってなかったのか?」
ハイテンションな若がユキに近づき「可愛いなぁお前!」と言いながらユキを撫でている。ユキは驚いていたけれど、若が怖い人じゃないと理解して早河から離れて自分でしっかり挨拶をしていた。
「へえ、ユキって言うのか。俺はハル!」
「ハル、さん…」
「そうそう、お前甘いもの好きか?お菓子食うか?」
どうやら仲良くなれたらしい。ユキはお菓子と聞いた瞬間目を輝かせ若について行く。
一番に誘拐されるタイプだ。あいつを絶対一人で外に出さないと誓った。
「それじゃ、そろそろ行くかー!」
「赤石さんは…?」
若と手を繋ぎながら俺を見るユキ。そうだ赤石を忘れてた。
「呼びに行ってくる」
「僕は…?」
「若と早河と一緒にいろ」
部屋を出て幹部室に一度行ってみたけど赤石がいない。どこだ…?と悩んでいると耳にフーッと息を吹き掛けられてゾワリ震えて慌てて両手で耳を塞いだ。
「おっはよーみっちゃん!耳が弱いんだねぇ!」
「…ちっ…若のところにいくぞ」
「うん!」
こちらもなぜかハイテンションで少しだけしんどくなった。
***
メンバーは車2台に別れて目的地にまで行く。当たり前に俺とユキと一人の組員、若と赤石と一人の組員。だと思っていたのに……
「なんで俺がお前と…」
「だーって若がユキくんと乗るって言うんだもん」
隣に座る赤石がヘラヘラ笑う。
「ユキくんがみっちゃんがいい!って言わなかったのは予想外だったね」
「うるせえ」
その事に関して俺はイラついてるんだ。赤石の足をダンと踏むと「痛いなあ!!」と踏み返された。
「二人とも仲良くしてくださいよ~」
ミラー越しに俺らを見て苦笑する鹿島 は赤石の下に所属するやつ。
「もっと言ってやってよー!みっちゃんたら俺に八つ当たりするんだよ!!」
「命さんそれはダメですよ!確かに赤石さんはたまに鬱陶しく思えたりしますけど…」
「え?鹿島そうなの?」
「やべ…っ」
運転席を後ろからダダダダっと蹴りだした赤石に”危ないからやめろ”と言うのさえもだるい。
「みっちゃーん、元気だして?俺がいるじゃん?ね?」
「……はぁ…」
赤石の下らない言葉にも反応するのが面倒だった。
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