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第104話

いつの間にか俺も眠っていたようで、帰ってきた赤石に起こされて飯にいく事を教えられユキも起こした。 「ユキ、飯行くって」 「ご飯…」 「起きろ」 ボーッとするユキは目を擦ってあくびをしながら俺の膝に乗っかる。 「命ぉ…」 胸にユキの頬がくっ付けられて、それが可愛くてユキの頭を撫でる。 「とくとく、してる…とく、とく……」 「寝るなって」 心臓の音が眠気を誘ったようでユキを胸から離す。むっとした顔をしてるけどそんなの怖くもなんともない。 「命、意地悪しちゃ…だめ、」 「してねえだろうが」 「意地悪する…僕…悲しいなる…」 「…あーもう、はいはい。悪かったよ」 何も意地悪してねえのに、謝ればまた胸に顔をつけようとしてくるからそれをなんとか防いでユキを立たせた。 「飯行かねえのか」 「行く…」 「ならちゃんと起きろ」 「うん…」 頭を軽く左右に振ってニコッと笑うユキ。そんな俺達を無表情で眺めてた赤石。 「赤石、悪い」 「んゃ?全然いいよ」 さっきの無表情がまるで無かったかのように思わせるような笑顔を向けてきて何だ?と少し不思議に思った。 若のいるところに向かうと若はユキに「おはよーさん」と声をかける。 「おはようございます…!」 「朝早かったもんなぁ。飯食ったあとまだ眠いなら寝ていいからな」 「うん。ハルくん優しい」 そんな仲の良い様子を見てる俺は不安や焦りや、よくわからない気持ちでいっぱいになっていた。 「あ、俺忘れ物しちゃったぁ。みっちゃん一緒に取りに行こう?」 「…一人で行けよ」 「ううん、一緒に行くの。若ー!ユキくん見ててあげてね」 「おう!」 赤石に腕を引かれ無理矢理さっきの部屋に連れて行かれる。 部屋の鍵を開け、中に入った途端壁にダンッと背中を押し付けられた。それが地味に痛くて眉を寄せ赤石を睨む。文句を言おうとするとそれを許さないとでも言うようにキスをされる。 「っ!…テメッ!やめろよ!」 「…ねえ俺ムカついてるの」 「はぁ?」 「ユキくんと若が仲良さげにしてる。それを見て嫉妬してるみっちゃんがムカつく」 意味がわからん、と赤石から離れようとするけれど壁と赤石に挟まれ足の間に膝を差し込まれた。そのせいでなかなか逃げ出せない。 「早くそこ退けよ」 「やだよ、だってムカつくもん」 「だから…っ!!」 膝でグリッと股を刺激される。言葉がでなくなって赤石を睨むしかできなかった。 「ねえ、飯なんて後でいいじゃん、抱かせてよ」 「ふざけんな」 「いいじゃん、ユキくんも若といるから寂しくないだろうし」 そう言われると胸が苦しくなって俯いた。ユキにとっての俺なんて、その程度かもしれないことはもう前から感じているのに。 「みっちゃん、ユキくんを拾ってから満足にセックスも何もできてないんでしょ?」 耳元で囁くように告げる赤石、絶対わざとだ。今朝耳が弱いと言うことをわかって、わざと息を吐くように話してる。 「気持ち良くしてあげるよ?」 その誘いに、ずっと溜まっていたどこにもいけない思いのせいで、赤石に自ら顔を近づけキスをした。

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