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第108話

しばらくして部屋のチャイムがなった。もしかして若?と思い慌ててドアを開けるとやっぱり若だった。 「…あれ、他の方たちは?」 「おう、昼寝だつって寝やがった」 部屋の中にはいってユキと赤石が話してるところに「俺も混ぜてー」と入っていった若。赤石も俺と同じことを疑問に思って聞いていた。 「そういやあ若、彼女できたんですかー?」 赤石が唐突に若にそんなことを聞く。そういえばこの前家に来たときそんなことを話してたっけ。 「彼女…?何で?」 「いやぁ?」 「何だよ赤石ぃ」 あの様子だと彼女はいないだろう、本当に”は?何?彼女?”っていう顔をしていたし。 「俺と付き合いたい女なんてなかなかいないよ」 「そうですか?俺が女なら好きになっちゃいますけどねぇ」 「お?マジで?俺イイ男?」 「イイ男ですよー!」 赤石と若の話してることがわからなくてユキは俺のところへ来て膝にちょこんと座る。 「かのじょ、何?」 「付き合ってる女の人のこと」 「女の人……僕よく、わかんない…付き合う…?」 頭を悩ませツーンと口を尖らせてて思わず指でその口を摘まんだ。 「ん、んっ」 「悪い」 「んー、僕、話せなくなるよぉ…」 「話せなくなんの?何で」 「お口、くっついちゃう…命、今日意地悪…」 フィっと俺から顔をそらした。 顔を背けられたのがムカついてユキの頭をグリグリといつもより強めに撫でた。 「んん…っ…痛い…」 手を離してユキからフイっと顔をそらす。お前も同じ気持ちを味わえ、と大人げないことをしてるのはわかってる。 「命…怒ったの…?」 「…………」 「怒った…?やだ、やだ怒らないで……」 涙ぐんだ声にハッとなってユキをみると泣きそうになってて、ああやっちまった。 「悪い、怒ってない」 「僕…嫌なこと…した…」 「してない。俺が悪かった。」 ユキを強く抱きしめるとフルフル震えてから顔をあげ口を尖らせ俺の頬にポンと手を挟んだ。 「ちゅー、したい」 「さっきからそればっかじゃねえか」 「…ちゅーしたい…だめぇ…?」 チラリと若も赤石をみると彼女の話に夢中でこっちを見ていない。なら…とユキに口付けしてゆっくり離す、ふふっと微笑んでそのまま胸に顔を埋めて。 「僕、寝んねしたい、いい…?」 「ああ。」 ポンポン背中を撫でると安心するようにフッと力を抜いた。

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