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第109話

眠ったユキをベッドにゆっくり下ろしてから俺も赤石と若の会話に入る。 「ユキ寝たんだな」 「若、ユキくん好きなんですか?」 「俺!弟が欲しかったんだよ!!」 そう言って眠るユキの隣にごろんと寝転び頬を撫でる若。 「ユキが家に住んでくれたらなってちょっと思ってるし」 「え!」 「じょーだん、そんな顔すんなよ命ー!」 いや、冗談には聞こえなかったんだが。ハハッと笑いながらも頭の中じゃ少し焦っていた。 「…みっちゃーん?」 「あ?なんだ」 「ふふ、なーんでもない。」 はぁ、と息を吐いてユキを見る。そりゃあユキは可愛いもんな、優しい性格だし、きっとこれからたくさんの人に好かれていくんだ。いちいちそれに反応してちゃいけない わかってはいるけど落ち着かない。 「みっちゃん?煙草?」 「ああ」 ベランダに出て深い溜息吐いた。 紫煙がユラユラと揺れる。落ち着かない、むしゃくしゃする。誰に対してではないけど、強いていうなら自分に。 ガーッと髪をかき乱すと背中をドンと結構な力で殴られた。振り返れば赤石がにやりとしながら俺の隣に並ぶ。 「嫉妬しすぎでしょー」 「うるせえよ」 吸ってた煙草を灰皿に強く押し付けて、その場にしゃがみこむ。 「みっちゃんがちゃんとユキくんを守ってあげてたら、誰もユキくんをとらないよ。それにユキくんもみっちゃんから離れたりしない」 「…ああ」 わかってるんだけど、このもやもやが消えることはない。絶対ユキを離さないですむっていう保証が欲しい。 「俺ならみっちゃんから離れないよ?」 「俺はユキがいいんだよ」 それと同じようにユキも俺がいいと心から思ってくれたらいいのに。

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