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第110話

なかなかモヤモヤが消えないまま若は部屋に帰っていってユキは目を覚ました。まだボーッとしていて俺を見てはヘラっと笑う。とてとてとふらつきながら俺のもとに来たかと思えば向かい合わせに膝に乗ってきて俺の胸に凭れこんだ。 「あのねぇ…夢…みたの…」 「どんな?」 「前に、行った公園…ブランコしてるの……」 「一人でか?」 「…一人…怖かった。…けどね、命…お迎え来てくれた…!」 そう言ってぎゅーっとしがみついて小さく嬉しかったと呟く。 「僕、命がいい。…好き…命」 「…ありがとな、俺もお前が好きだ。」 ふっと心が軽くなる。ユキを潰れるんじゃないかってくらい強く抱き締めると苦しいと非難の声がかかった。 「俺はユキがいてくれたらそれだけで嬉しいよ」 「ほんとぉ…?」 「本当、お前は?」 「僕も、命いたら、嬉しい…」 首に腕を回され密着してキスを繰り返す。完全にユキとの世界に入っていた俺は、舌を絡ませて深いキスをして、心を満たしていく。 「はい、ストーップ!」 赤石に襟首を持たれて後ろに引かれ強制的にユキから離された。ユキは口端から涎を垂らし目をトロンとさせている。 「みっちゃんったらぁ、ユキくんしか見えてないんだから」 「…悪い」 *** 時間はどんどん過ぎていき飯も食って風呂も入って寝る時間。 二つのベッドのうち片方に俺とユキが寝転び、もう片方に赤石が座って携帯を触っている。俺はユキがこそこそと話す小さい声に耳を傾けていた。 「お泊まり、楽しいね」 「そうか」 「命、一緒だから」 すりすりと寄ってきてキュッと服を掴まれる。 「頭、撫で撫で…してほしい…」 そう言われてユキの頭をポンポンと撫でる。それが落ち着くみたいでフッと体の力を抜いて少しするとユキは眠った。 今日は朝が早かったからか、昼寝も存分にしたのによく眠る。 「ユキくん、みっちゃんにはすごい甘えただね」 「それがすげえ可愛い」 「俺にも甘えてくれないかなぁ」 その言葉にイラっとして赤石を見ると「冗談」と言って笑いベッドに横になる。 「明日もこんな感じかなぁ」 「ん?」 「なーんでもない」 「…そうか」 笑う赤石の内側を、俺は知らなかった。

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