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第111話
初日は楽しいと言っていたユキ。2日目に行った遊園地ではキャッキャはしゃいで楽しんでいたが…5日目の今日は流石に飽きてきたようだ。
「……僕…命とお遊びしたい」
「遊びなぁ、何がしたい?」
「あのね、えっと……わかんない」
「そうか」
頭を捻っても出てこなくてむっとした顔をするユキの頭を撫でてやる。すると柔らかい表情に戻った。
「お絵描きするか」
「一緒に…?」
「ああ。」
「する…!」
スケッチブックを机に広げ色鉛筆を俺に渡す。
「ふふ…命と、お絵描き…」
少しは楽しくなったようだ。
お絵描きって言われても何を描いたらいいかわからなくて、なんとなくユキを見てると似てるなぁと思い猫を描いていた。
「猫さん…?」
「おう」
「猫さん、ふわふわ…」
ふわっとした猫を表したいようで両手をボールを持つみたいに丸めて小さな手で揉むような仕草をとるユキは、「僕も猫描く」と俺の描いた猫の隣に小さな猫を描き始める。
「お前本当に絵うまいなぁ」
「僕、お絵描き好き」
話しながらも手を止めないユキは本当に絵を描くのが好きなんだろう。
「楽しいか?」
「うん、楽しい…!命一緒、だもん」
「…お前本当可愛いな」
そうしてユキは描きあげた猫を撫でて俺はユキを撫でて。
「猫さん…」
本物の猫と遊びたいのかユキはその絵を見て少しもの足りなさそうな表情を見せる。
「猫と遊びたい?」
「遊べるの…!?」
キラキラ目を輝かすユキに頷いて見せた。
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