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第115話

「ユキーご飯」 「はぁい」 シロを膝から下ろしてテーブルの席につくユキ。そんなユキを追いかけるようにシロは後をついてきてユキの隣の席に登って座った。 「シロくんのご飯、違うよ…?」 「シロはこっちだ」 キャットフードを床においてシロを呼ぶ。声に反応して俺に振り向いたと思えばフイッと顔を向こうに背ける。 「シロくん、ご飯食べないの…?」 「シロは後で食うんじゃねえか?ユキはちゃんと今食べろよ」 「うん」 シロを少し寂しそうな目で見てからいただきますと手を合わせたユキ。そんなユキの頭を撫でてから俺も席につき手を合わせた。 「シロくん…偉い…!お腹いっぱい…?」 俺たちが飯を食べ終わる頃にシロが飯を食い始めさっき食べ終えた。綺麗に何もなくなった皿をみてユキは偉いねえとシロを撫でる。 「シロくん…シロくん…」 「ミャァ」 「ふふっ」 そうしてユキがあまりにも幸せそうに笑うから、俺もつられて知らない間に口角が上がっていた。 風呂に入る為に、着替えをもって風呂場にいく俺達。シロはソファーの上でくるまっている。 「あ…アヒルさん…!」 「ああ、とってくるか?」 「うん!」 上だけ服を着た状態でパタパタ走っていくユキ。すぐに帰ってきたと思えばなぜだかシロもそこにいた。 「シロくん、寒いって、だからお布団…あげるの」 「ん。」 俺はユキとは反対に下着とズボンを履いた状態で寝室に行きベッドに乗せてやれとポンポン布団を叩いた。 「シロくん、僕、お風呂入ってくるね…」 「ミャー」 尻尾を一度パタッと振ってからシロはピョンとベッドに飛び乗った。 「風呂いくぞ」 「はぁい」 アヒルを両手で大切そうに持って風呂場に向かった。 「早く、早く…」 「そんな急いでたら目に泡入るぞ」 髪の毛を洗いながらボソボソと「早く上がらなきゃ」と繰り返し呟くユキにそう言うと不満いっぱいの目がこっちに向けられる。 「でもぉ…」 「でもじゃない。ちゃんと目え閉じろ」 むぅと口を尖らせながらもしっかりと目を閉じてシャワーで泡を流す。その様子を見てから湯船に浸かり、目を閉じた。

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