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第122話 命side
***
「はぁ!?」と言った俺に静かにしろと睨む早河。
「なんで、そんな…」
「知らねえけど。」
呆然とする俺と面倒そうな顔をする早河。
こんな状況になったのはなぜか───
遡ること10分前。
今日は何をしていたらいいのかを早河に聞いている時に、さっきやっと組にきた赤石が突然割り込んできた。
「今日って芦屋の娘がくるんでしょー?芦屋の親父と長女だけ?」
「いや…」
「違うの?誰?誰が来るのー?」
「…次女も来るらしい」
その話には特に興味がなかったから携帯を弄って、これまたさっき組に来た中尾に「このゲーム暇潰しで面白いよ」とアプリを勧められていた。
「え?何で次女?関係ないよね?」
「……が………だと」
「は?何て?」
「…命が目当て…だと…」
自分の名前が聞こえたら何の話だと聞きたくなる。「何の話」と聞くと赤石に耳を塞がれ何も聞くなと首を振られた。そんなことされたらもっと気になっちまう。
赤石の手を振り払ってもう一度「何の話?」と聞けば気まずそうに早河に言われた。
「芦屋のとこの次女がお前目当てでここにくるとか、なんとか」
「はぁ!?」
───そして冒頭に至る。
「俺顔すら覚えてねえし」
「ダメダメ!みっちゃんにあんな女だめだよ!!」
「赤石うるせえ、俺どっかで会ったことあるのか…?」
「知らねえ。」
早河にそう言われてだよなぁとソファー座り、背もたれに凭れた。
「はぁ…」
「みっちゃんにはユキくんがいるもんねー?女が来たってどうも思わないよねー?誘惑されても乗らないよねー?」
「…ああ」
本当、面倒くさい。
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