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第126話 命side

目の前に親父が座っている。その隣に若がいて、俺の隣に早河がいた。 芦屋が帰ってからすぐに親父に呼び出されてここにいるわけだが、空気が重たすぎる、苦しくなりそうだ。 「で?命は何を言われたんだ」 「…えっと」 「ちゃんと本当のこと言えよ」 別に嘘を吐く気もないし、素直に茉美と話した内容を言った。ここに連絡しろと言われてもらった連絡先も親父たちの前に出す。 「…それで、薬が絡んでるか調査ついでに乗り込むってことか?」 親父の鋭い目が俺を射抜く。 「親父の判断に任せます」 「お前は今ガキと一緒に暮らしてるんだ。そんなことさせられねえよ」 「でも…」 「させねえって言ってる。俺の判断に任せるんだろ?」 そう言われて言葉を飲み込んだ、けれどこれは芦屋を潰す絶好のチャンスなのに。 「お前を芦屋に行かせねえ。そのせいで芦屋に何かちょっかい受けるかもしれねえ。もしそうなっても、ガキだけは守れ」 「はい…」 親父たちのチャンスを俺は潰したんだ。そう思うことしかできなくてその話が終わると先に部屋を出て長い廊下を歩いた。 幹部室に戻ると赤石と八田と中尾がゲラゲラはしゃいでいた。どうも俺はそんな気分じゃなくてソファーにゴロンといつも通り寝転んで目を閉じる。 「みっちゃん」 ユサユサと体を揺らされて目を開けると至近距離に赤石の顔があった。 「何かあったの?」 「何もない」 「嘘だー!俺ね、みっちゃんのことはわかるよ?」 「それこそ嘘だ」 寝返りをうって赤石から逃れようとした。なのに「逃げないで」と言われ肩を押さえつけられる。 「話してよ」 「嫌だ」 「俺とチューしてエッチするのとどっちが嫌?」 「どっちも嫌。」 赤石の頭はその事ばっかりなのか。俺が相手にしないから女に相手してもらうとか、前言ってたじゃねえか。 「頑固!」 「…今日はもう仕事ねえの?」 「多分もうないよ」 「そうか」 腕で目元を隠して赤石からも光からも逃げた。 家に帰ってユキを抱き締めたい、ユキに触りたい。

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