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第127話 ユキside
命はまだかな、まだかな。
もう短い針は5を指していてお空も暗くなり始めた。ミャーって隣でゴロゴロしてるシロくんもお腹がすいたのかもしれない。僕の手をペロペロ舐めてきてくすぐったい。
でも僕もちょっぴりお腹がすいてきちゃった。何でも食べていいよって命は言ってたけど、そう言われても、何を食べていいのかわからなくなっちゃって…。
その時ガチャガチャって玄関から音がした。命かな?急いでシロくんと一緒に玄関まで走る。
「…あ、ユキただいま」
「おかえりなさい…?」
あれ、命のお顔がちょっとだけ怖いお顔になってる。
「わっ!!」
どうしたの?って聞こうと命に近寄ると強い力で引っ張られて、固いお胸に僕の顔がゴツンした。ちょっと、お鼻が痛い。
「命ぉ、お鼻潰れちゃう…」
「悪い、もうちょっと」
僕をすごく強い力でギューってしてくる。我慢できなくなっちゃってトントンと命のお胸を叩いた。
「ごめん、痛いよな」
「命、どうしたの…?お疲れさましてる…。どこか痛いの…?」
「何でもない。ごめん」
靴を脱いで僕の頭を撫でてからシロくんも撫でてリビングに行く。やっぱり命はちょっとお疲れさまみたい。
リビングのソファーに座った命ははぁ…って溜息を吐いてる。
どうしたらいいんだろう…。命は何をしたら笑ってくれるかなぁ。
あ!そうだ!
僕が寂しいときとか悲しいとき命はいっつもチューしてくれる。僕はそれが嬉しくて、悲しくなくなるんだっ!
「命、命…」
「んー?」
「お目目閉じて…?」
見られちゃ恥ずかしいもん。ちゃんと命がお目目を瞑ったのを見てから、僕はそっと命のお口にチューをした。でも恥ずかしいからすぐに離れてお顔を隠しちゃう。
「……ははっ、お前本当可愛いな」
「ふふっ」
命はちょっぴり驚いてたけど、笑って僕の頭を撫でてくれた。僕はそれがとっても嬉しくて命と一緒にクスクス笑った。
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