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第130話
風呂から上がって髪を乾かしてからキッチンに立った。今日はユキも手伝ってくれるらしい。服の袖を捲って腰に手を当てて「僕もできる…!」と言ってきた。
「じゃあ味噌汁作るから味噌といてくれる?」
「お味噌汁…うん、できる…!」
じゃあ味噌溶くときに呼ぶからってユキをリビングに行かせる。
「シロが寂しいしてたら一緒に遊んでやって」
「シロくん、寂しい…?」
「わかんねえけど、ひとりぼっちは誰でも嫌だろ?」
「うん」
てってっと走っていったユキを見てからもう一度キッチンに戻って野菜を切った。
少しして、あとは味噌を溶くだけになった。
「ユキー」
「…あっ…お味噌汁…!」
名前を呼べば急いで走ってきたユキ。俺の一歩手前で転けそうになったところをキャッチして走るなと注意した。
「ごめんなさい…」
「いいよ。早く手伝ってくれようとしたんだもんな。けど今度からは走らないで歩いてきてくれ」
「うん…!」
笑顔で返事したユキの頭を撫でてからユキ用に椅子を持ってきて、鍋の前でユキに味噌が入ったお玉と箸を渡した。
「これをこうやって…」
「僕する!僕するの…!」
「はいはい、じゃあ気を付けろよ」
火を止めて隣でユキを観察。「美味しくなぁれ、美味しくなぁれ」って呟きながら作業するユキに思わず笑みが漏れた。
***
「いただきます。」
「いただきます!」
いつもより少し遅めの晩御飯。シロも今ご飯を急いで口に頬張っている。誰もとったりしないのに。
「あ…命、あのね…?」
「ん?」
「僕、お弁当箱、洗う…できなくて…ごめんなさい」
「ああ…謝らなくていい。わかんねえもんな、今度教えてやるから、そしたら自分で洗ってみるか?」
「うん!」
ユキは何かを覚えるのが好きみたいだ。あ、お弁当箱といえば。
「今日の弁当どうだった?」
「あ!あのね…!僕の好きなの、入ってたの!オクラの肉巻き…?いっぱい食べて、お腹膨らんじゃったぁ!」
嬉しそうに話すユキ、自分の作った弁当でユキが喜んでくれるのは俺も嬉しい。
「また作るな」
「うん!」
ご飯の粒を口の端に付けてにっこり笑うユキが愛しくてたまらなかった。
飯も食べ終わってボーッとする時間。テレビを観てそれが動物の感動物語でユキが号泣してる。鼻水も垂れててティッシュで顔を拭ってやった。
「…シロくぅん……」
「ニャー」
泣いてるユキの膝にシロが乗ってユキに顔を擦り付けたりしてる。
「シロくん…」
動物ものを見たから余計シロに触りたくなったんだろう。涙をポロポロ落としてシロを撫でるユキは優しい。
「そんなに泣いたら明日、目が腫れるんじゃねえか」
「お目目、腫れるの…?」
「ああ、ちょっと冷やせ」
ユキは目元を赤くして口をへの字に曲げた。
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