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第134話

飯を食い終わって皿洗いをしてると後ろから抱きつかれて項を噛まれた。 「痛い…」 「ねえ、足りないよー」 「っ…やめっ…」 尻に赤石の腰がトンと当てられる、さっきの行為を思い出してビリっと甘い電気のようなものが背中に走った。 「おい!」 「んー」 服の隙間から手を入れられてスルスルとそれが俺の腹を撫でる。皿洗いを終えて手を拭いて赤石に振り返り手を払おうとしたのに固定されていて振り返ることすらできない。 「おいやめろって…んぐっ…!」 「静かにして」 口に赤石の指が入れられて閉じることができなくなった、その手を離させようと両手を使い引っ張ろうとしたのに 「ぅあ…」 赤石の俺の腹を撫でていた手は下着を潜って直に俺の性器に触れた。焦ってその手も離させようとするけど気持ちいい、上手く力が入らなくなってしまう。 「みっちゃん、あと一回付き合って」 「んっ、やめ」 閉じられない口の端から垂れる唾液が首を伝う、気持ち悪い。もう仕方がないと思って…後ろにいる赤石の鳩尾に肘をいれた。 「ぐっ…うっ…そ、あり得な…」 ふらっと離れて倒れる赤石が自分の腹を撫でて苦笑いを浮かべてる。 「今はもう自分のせいだなんて思ってないからお前とする理由はない。」 「…ハハッ…そうだね…」 腹を押さえてフラり立ち上がり冷蔵庫に背中を預ける赤石は消えてしまいそうな笑顔で俺を見る。 「…結構苦しいね」 「悪い…」 赤石との関係が少し、おかしくなり始めた。 *** その後、何をするわけでもなく赤石は隣にいた。酒を飲みながら、うたた寝をしながら。 シロを膝にのせた赤石が突然俺を指差した。 「みっちゃんはいいなぁ!」 「…おい、もう飲むなって」 「うるさいよ。俺は飲むの~!」 「はぁ…」 もう何本目かわからない。ビールの空き缶が机の上に散らばってる。赤石は顔を少しだけ赤くしてヘラヘラ笑い、その眩しい金髪が邪魔になったのか後ろで緩く髪を結ぶ。 「んー、ん…」 「おいって…」 肩にグリグリと額を押し付けられる。手から落ちそうになってる缶をとって机に置き、半分夢の世界にいる赤石をソファーに一人で寝かせた。寝室から毛布を持ってきてかけてやると本格的に寝だして、その上にシロが乗っている。その様子を見ていると無意識に溜息が出る。 「よし…片付けるか。」 散らかった部屋、缶をキッチンに運んで、机を拭いて… 片付けが終わって時計を見ると驚いた。もう5時?もう少しでユキが帰ってくるかもしれない、赤石がいるからってあいつには何をしていたか、なんてきっとわからない。 ───なのに、なぜだか異様に動悸が速くなる、少しだけ怯えてる自分がいた。 そんなときにピンポーンと軽快な音が鳴って平然を繕って玄関に向かった。 玄関のドアを開けるとユキが俺に飛び付いてくる。満面の笑みで「ただいま」と言ったユキ。胸が締め付けられるように痛い。 「…おかえり、早河ありがとな」 「……赤石は?」 「寝てる。」 早河とも何故だかまともに目を合わすことができなかった。部屋に上がって寝てる赤石を見て早河は眉間に皺を寄せる。 「…酒か。どんだけ飲んだんだよ」 「わかんねえ」 ユキから空になった弁当箱をもらってキッチンに置く。 「命、命…僕、今日ね、シロくんのお絵描きしたの」 「へぇ、上手く描けた?」 「うん…見て…?」 スケッチブックを広げ絵を見せてくるユキに何とも言えない切なさが込み上げてきた。

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