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第146話 命side

ゆっくり目を開けた。見慣れない天井。だけど嗅ぎなれた匂いにここはトラのところだと安心する。起きようと思って体に力を入れた。 「…いってぇ…」 痛みが走ってそれもすぐにやめた。俺の眠るベッドの隣から寝息が聞こえて、そっちを見ればユキの姿。手を伸ばすけれど届かなくて、けれど今すぐにでも触れたい。 「……ユキ」 名前を呼んでみるけれどユキは起きない、でもやっぱり触りたいんだから仕方ない。 痛みを堪えて起き上がり、ゆっくりベッドを降りる。ひんやりとした床に足をつけ、腕につけられてる点滴と一緒にユキのベッドに行く。スースーと眠るユキに隣に寝転んで、ぎゅっと抱き締めた。 「……はぁ…」 ユキに顔を寄せると甘い匂い。この匂いは落ち着く、ユキの匂いだ。 もう少しだけ眠ろう。まだ覚醒しきっていないようで、ぼんやりする、目を閉じればすぐに眠れそうだ。 「……温けぇ…」 何よりユキがいるから安心できた。

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