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第148話 命side

ユキの手前顔には出さなかったが、腰辺りが痛くて今は歯を食い縛って耐えていた。ユキに触れたいからって動いたからか…?それなら仕方ない、だって触りたかったし。 はぁ、と息を吐いたところで部屋のドアが開きトラと早河を連れてユキが帰ってきた。早河は俺の様子を見てユキに外に行っておこうと促す。俺の性格を多分、誰よりも早河は知ってるからユキに痛がっているところを見られたくないとわかってくれたんだろう。 ユキは大人しく早河に従って外に出た。トラは眉間に皺を寄せる俺を見て溜息を吐いている。 「無茶して歩くからよ」 「悪い…」 「とりあえず痛み止め打ってあげる。その後は絶対安静よバカ。」 「……ありがとう」 今回のことは全部トラのお陰だから。礼を言うと髪を撫でられて微笑まれた。それから注射を打たれて、その間にトラが話し出す。 「…あんたのあの猫ちゃん、ちゃんと鳥居が保護してくれてるわ」 「…よかった」 シロも無事だった。一安心したところで茉美はどうなってるのかと不安がまた蘇る。 「茉美は?」 「あー、あの女なら薬のことで病院にいるわ。ここじゃあ無理だからあたしの友達に頼んで診てもらってる。」 芦屋組自体は終わった筈。茉美の親父や姉妹達はどうなったのか、それは正直どうでもよくて、全身から力を抜くとまた眠気が襲ってきた。

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