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第150話 命side
夜中に目を覚ました俺は隣にユキがいない寂しさと背中に走る地味な痛みにハッと小さく息を吐いた。
「……いてぇし…」
絶対安静と言われたからきっと歩いてたりしたらトラに怒られるんだろうなーって思ったけれど、尿意を催してベッドを抜けた。生理現象だから仕方ない。
建物の中にはまだ明かりがついてるところがある。用を済ませてからトラはどこだと部屋を回れば、怪我をして運ばれてきた患者の手当てをしてた。「だーいじょうぶよっ」とケラケラ笑ってるトラと目があった瞬間、箱ティッシュが投げられてきて慌ててそれを避けた、途端ビリっとした痛みが腰に走って背中を丸める。
くっそ。あいつ容赦ねぇ!!
「命!絶対安静だって言っただろうがッ!!」
いつものトラからは考えられない低いドスのきいた声。治療してもらってたやつらも驚いて目を見開いていた。
「…仕方ねえだろ…便所だよ…」
「はぁ?」
「…悪かったよ、…ついでに痛み止めくれ、寝れない」
そういうとポーイとこっちに錠剤の入った袋を投げられる。
「丁度持っていこうと思ってたの。それ全部飲んで。睡眠導入剤も入ってるから嫌でも寝なさい。何も考えないでね」
「…ああ」
その薬が入ってる意味はわからないが頷いて建物内にある自販機によってミネラルウォーターを買ってから部屋に戻った。
「…っ…は…」
部屋についた頃には痛みがひどくなってるように思えた。倒れるようにベッドに入って思う。こんな姿をユキに見られなくてよかった、と。格好悪くて嫌になる。
こんな傷くらいで情けない。
「くそ…」
何とか起き上がって薬を飲んで布団に潜った。そんなに眠たくなかったのに薬が効いてきたのかだんだんとふわふわしてきて、知らない間に眠りに落ちていた。
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