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第151話
目を覚ましたらそこには早河がいた。優しく髪に触れられる。
「…お前が、生きててよかった。」
「…何だ、それ…」
ふっと笑う俺の髪をそのままワシャワシャと撫でる。それにされるがままになってると急にピタッと早河が動きを止めた。
「芦屋の次女の茉美…だっけか?あいつをどうするんだ」
「…親父に何とか頼んでみる。……茉美の家族はどうなった」
「芦屋の頭と姐さんは警察の方じゃねえか?長女は男が好きみたいだし自分からもそれでいいって言いやがったから風呂行きだ。」
「…そうか」
風呂っていうのは所謂風俗のこと。自分から望んだなら俺達は何にも言えねえや。
「三女はまだ高校生だ。何が起こったのかを何となくしか理解していない。今は親父が面倒見てるが……」
顔を歪め口を閉ざした早河。何だよ、凄く気になる。
「言えよ」
「…家族と引き離されたのがショックなんだろうな、口を利かねえよ」
「…そうか」
芦屋に家族愛は存在してた。だからこそ茉美は俺を刺したんだよな。自虐気味にふっと笑う俺を不思議そうに見た早河は、ユキを呼んできてくれるようで、部屋を出ていく。少ししてトラと一緒にユキが来て俺を心配そうに見るからユキの頭をくしゃりと撫でた。
「大丈夫だからそんな顔するな」
「…うん」
嘘でもふんわりと笑ったユキは可愛くて俺もつられるように笑った。
***
それから3日くらい経った日。トラが安静にするなら退院していいと言ってくれたから家に帰ってユキとゴロゴロしていた。そしてその日の夕方には鳥居がシロを連れて来てくれた。
「…シロくん…!」
「ニャー」
シロを抱きしめたユキの目には薄く涙の膜が張ってあって一人で寂しかったんだなと申し訳なく思う。
「命さん!親父が傷が治ったら組にこいって言ってましたよ~」
「ああ、ありがとな」
鳥居はそれだけ言って帰っていった、シロとユキは猫じゃらしで遊んではしゃいでる。
「ユキ、飯食おうか」
ゴロゴロすごしていると時間はすぐの過ぎてしまう。
「僕、パスタ食べたい…!」
「おう」
リクエストに応えて、飯はパスタになった。
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