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第4話

夕食が終わり、食器を食洗器に入れたり片付けたりしていると、東城の電話が鳴った。彼は画面を見て、不審そうに電話をとった。 しばらく話をしていて、眉間にしわを寄せている。相手との話がかみ合っていないようだった。 広瀬はその様子に心配になる。自分が記憶がないことを突きつけられて緊張状態になるのはよくないと言われていたからだ。 彼が身体をこわばらせ、顔色も悪くなっていったのが、広瀬にはわかった。 東城は、電話の相手にまた改めて電話する、と言って切った。 ショックを受けているようだった。 なにか、声をかけるべきなのか、広瀬は東城の前で立ったまま、考えあぐねた。 だが、ためらいよりも心配の方がまさり、「どうしたんですか?」と聞いた。 「祖父が、亡くなってるって、話で、市朋グループの経営のことの電話で」と東城の言葉は途切れた。 何かを堪えるように手をぎゅっと握っている。 「この家に住んでるの、どうしてかなって思ったんだ。岩居の叔母の家から、引っ越した理由。ちょっと考えればわかりそうなもんなんだけど」と彼は言う。「いつ亡くなったのか、知ってる?」と聞かれた。 広瀬は、答えた。 「つい、この間だな」と彼は言った。額に手をやる。「覚えてないなんて。死んだこと、信じられない。体調が悪いとは思ってたけど、そんなに悪かったなんて」

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