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第14話

「どうして鍵なんかかけたのかな」と東城は言いながらトレーニングルームの鍵をあけた。広瀬は彼の後ろからついて入る。 中に並ぶマシーンの数々を見て東城は呆れた声を出す。 「これはすごいな。金かけすぎ。買ったのは俺だけど、どうかと思うぞ」 東城の解説によると、かなり高額なブランドのマシーンらしい。並ぶ機器の向こう、部屋の奥にいくと、壁際に大きな濃い青のカバーがかけられている。 何だろうか。 東城は、ためらいもなくカバーを外した。 中から出てきたのは、2台のロードバイクだった。細身の優美な形で落ち着いた色のとポップな柄の大き目のもの。 「新品だな。一台はあなたへのプレゼントかな。ロードバイクが趣味?」 「そうではないですけど」 以前、二人で街中をぶらぶらしていた時、偶然雑貨店の店先のディスプレイに飾られたロードバイクをみつけたのだ。機能的で美しい車体にみとれてしまった。 自然がきれいなところで走らせたら、風を切って飛んでいくような気分になるだろう。どこまででも行けそうだった。 じっと見ていたら欲しい?とかなんとか東城に聞かれて、走ったら楽しそうですね、と答えたのだ。 あの時の会話を覚えていて、彼は注文したのだろうか。

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