15 / 32

第15話

広瀬は片膝をついてロードバイクに触れてみた。あの時の見たロードバイクそのものではないが、同じブランドだろう。 「サプライズプレゼントだったのか。だから鍵をかけて隠してたんだ。あなたがびっくりして喜ぶ顔が見たかったんだな」と東城が言った。 「びっくりしました」 「嬉しい?」 広瀬はうなずいた。「ありがとうございます」 「よかった。俺が買ったんじゃないけどな。今度、休みの日に一緒に乗りに行こう」と彼が言った。 広瀬はうなずいた。ロードバイクに乗って遠出をするのは楽しそうだと思った。 東城は、トレーニングルームで目当てのウェアやシューズを見つけていた。彼の今の感覚とは若干趣味がずれているらしい。年取ってるからな、とぼやく彼に広瀬は笑った。

ともだちにシェアしよう!