23 / 32

第23話

その夜、広瀬は東城と同じベッドで寝た。別室で寝るのはもういやだと彼が言ったのだ。 ベッドは広いし、広瀬が嫌なことは何もしない。一緒に寝る方が、暖かいだろう、と彼は言った。 東城は自分の言葉通り、広瀬には触れずに眠っていた。 広瀬の気持ちを待って、時が満ちれば、もう一度、身体を合わせよう。それまで、待つよ、と東城は言った。それほど時間はかからないと思うしな、という口調は明るかった。 広瀬は、ベッドの端に横になり、規則正しく呼吸をしながら眠る東城の背中を見た。自分がどうしたらいいのか全く分からなかった。 このまま、ここで毎日眠るのだろうか。 東城が言う通り、どうしても、彼の中に探してしまう。自分の記憶の中だけにいる東城。 でも、いずれは、今の東城と過ごすの時間の方が長くなり、どちらがどちらなのかもどうでもいいことになるのだろうか。彼が言うように、時間を重ねて、時が満ちることは、あるのだろうか。 それに、自分が覚えている記憶をなくす前の東城が、実際の彼であるとは限らない。自分の頭の中で作られた幻想のようなものなのだと言うことだってできる。 記憶の中の彼と今傍にいる彼とでは、どちらがリアルか考えるまでもないことだ。 広瀬は東城ほどにはポジティブにはなれなかった。だからといって、このベッドから出て、別室に行くこともしなかった。この迷いは、いつまで続くのだろうか。 顔をベッドに伏せた。 いっそ東城があんな約束などせずにいてくれた方がよかった。答えのない迷路にたった一人で迷い込んでしまったようだった。

ともだちにシェアしよう!