大きな手で彼は広瀬の身体をなでた。首から胸、腹、腰と順番に形をなぞっていく。 時々彼の性器が太ももにあたる。それはもう濡れていて、幾筋もぬめりが太ももを汚している。だが、彼は性急にことを進める気はないようだった。 時間をかけて、胸をいじられた。舌先で左の乳首をつつかれ、右の乳首は指でなぞられる。 「あ、」声が漏れた。 東城が顔をおこし、覗き込んでくる。 「気持ちいい？」 指先でくにっと押しつぶされると、また声がでてしまう。 「ここ、感じてる」と彼は言った。 それから広瀬の耳に口を寄せた。 「もっと声出して。俺に、聞かせてくれ。俺の頭の中、お前のよがる糖分が不足してるんだ」 耳朶を唇ではさまれた。軽く息を耳の奥に吹き付けられる。くすぐったくて、もぞもぞしてくる。 舌先が耳にも入り込んできた。 「あぁ、」 忘れていた呼吸を取り戻そうとしたら、また、声が出た。 低い声が耳にすべりこんできた。 「これも、感じるんだ」 身体は、この声の音の振動を覚えていて反応する。 手が広瀬の中心に触れた。 「すげえ濡れてる」 くりくりと先端を指先が回す。つつかれるとトプリと中から漏れ出てしまう。だが、確実な刺激にはならない。裏筋を指先が何度も行き来し、丸い先端を人差し指がなでた。 喘ぎ声の合間に呼んだ。「東城さん、」 「ん？」 「も、、う」 「どうしてほしい？」 「中に、」 「こっちじゃなくて？」 指で輪を作って、広瀬の性器の根元から先端を行き来させ始める。 広瀬は、腰を揺らした。なんとかこらえて、首を横に振る。 「なに？」じらせて意地悪をしてくるのも、前と一緒だ。 「楽しませて、くれるって」広瀬は抗議した。 それから、彼の手から逃れ、身体をよじりうつぶせになった。そして、腰だけをあげて見せる。自分の性器は反りあがり、腹に当たりそうなくらいだ。ポトポトと先走りがたれている。 恥ずかしい姿勢だが、彼に明け渡してしまいたかった。 右手を尻のスリットにもっていき、秘所をあらわにした。 「ここに」と言葉にする。 こんなこと言うのは初めてだった。でも、欲しくてたまらない。彼を早く感じて、自分のものにしてしまいたい。 「東城さんの、ほしい」 「お前、」と東城は息を飲んだ。「そういうところが、反則なんだよ」 だが、その後、彼は信じられないくらいの忍耐を見せて、長い時間をかけ、後孔を解した。ローションを使い、指で拡げ、徐々に奥に押し入り、かきまぜた。 何度も広瀬にせかされながら、指で中をたどり、出し入れしてくる。それだけで、すぐに達しそうになった。すると彼は広瀬の根元を指できつく抑えてきた。 「いやあ」 「あと少しがまんな」と彼が言った。 暴れそうになる広瀬の腰をがっちりとおさえてくる。それから、熱い塊が押し付けられた。 ぐっと割りいられる。わずかな痛みと、満たされる感覚が広瀬を包んだ。 長い声をあげていたようだ。 彼が時間をかけて中に入り込む。背中から熱い身体で抱きしめられた。 抽挿はゆっくりと、じわじわ繰り返された。中にある性感帯にあたるように、広瀬もはしたなく腰を動かした。もっともっと彼が欲しかった。 「東城さん、も、っと、」口に出して言う。 「なに？」笑いを含んだ声で東城が返事をしてきた。 「早く」 「腰を振れってか？お前の中狭いんだ。久しぶりすぎて」 そして、くっと打ち付けてきて、すぐに抜こうとした。 広瀬は首を横に振る。 「奥」 そういうか言わないかで、ズンと深く突かれた。広瀬の中が収縮した。つま先までが痙攣しそうになる。自分が精を吐き出したかどうか広瀬はわからなくなっていた。 頭の中もぐちゃぐちゃで、東城に、もっととねだるばかりだった。