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第2話
星崎潤の話
久しぶりに妹から連絡が来た。
(清香 ) 元気?彼氏できたよ!
(清香) 彼氏できたよ!
(清香) 彼氏できたよ!約束通りフレンチコースおごって!
(潤) おめでとう、どんな人?
(清香) 研究室の後輩!フレンチコースでよろしく!
(清香) 今週末でもいいよ!
(潤) 無理、友達の結婚式がある
(清香) じゃあ再来週の金曜!22日!19時で予約入れるね!
(清香) 今恋人いる?よね!リア充だから!ダブルデートwwしよ
(潤) クリスマス直前に予約取れるの?
(清香) 何とかする、4人ね!
相変わらずのハイテンションで思わず笑ってしまう。恋人ね…、ユウヤさんは僕を恋人と思っているのかな。さて、どう切り出そうか。
******
みぞれになる一歩手前の雨が降っていて足元から冷えてゆく。
友達の結婚式の二次会の後ユウヤさんの部屋に行くために着替えに帰ろうかと思ったら、うちの最寄り駅に来ていると連絡が入った。
改札の向こうでスマホをいじっているのは見慣れた人。お気に入りだと言っていたダークグレイのダッフルコートがよく似合っている。
電車から降りた一群の後ろについてゲートを通過すると、こちらに気が付いて「おかえり」と言ってくれた。
「こんばんは、どうしたんですか?用事でもあったんですか?」
思わず笑顔になっているのが自分でも分かる。駅構内を歩きながら聞くと、距離を詰めて肩を僕の肩に軽く当て、やさしく微笑まれた。
心臓の辺りから全身の細胞にさざ波が広がる。服の上からこんな風に触れられただけで身体が喜んでいる。
どうしたの、ユウヤさん。何かいつもと違ってますけど、って言おうと思ったら耳元に顔を寄せられた。
「この雨の中うちまで来るの大変でしょ?もう仕事終わったから、星崎くんちに行こう」
小さい声でそう言うと、多分着替えが入っているカバンを片手に楽しそうに歩き出した。
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