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第11話

ユウヤの話 掌で触れたら、星崎くんのそこはもう反応して形をもちはじめていた。 見上げると、一人で赤くなったり焦ったりしているから「今何時?」って聞いたら、体を起こして膝立ちになってしまった。 あれ、今日はやる気がないのか? 「もう0時過ぎてる。メリークリスマス、ですね」 「バカな話しながらクリスマスを迎えちゃったか」 こっちも上半身を起こしながら言うと、時計から視線を戻して物凄く真面目な顔で頬を挟まれた。キス?って思ったのに何もしてこない。もう、どっちなんだよ! 「ユウヤさんは、両方できるんですか?」 「は?」どうやら彼の中ではまだ話が続いていたらしい。 「できるよ、随分してないけどできると思う。したいの?」 僕の言葉に、眉根を寄せて考え込んでいる。珍しく男の顔をしてるなーと思ったら、詰めていた息をふっと吐いて言った。 「…いえ、今日は止めときます」 その言葉に本当は少しほっとした。それを悟られないように冗談めかして 「若いんだから、ガッついてきてもいいんだよ」と言ったら、 「ユウヤさんとそんなに年違わないんで」と冷静に返された。 星崎くんはいつになく神妙な面持ちで僕の前髪を手で上げながら額にキスをした。 中学生同士のキスでももっとするだろうって位もの足りない、やさしい感触に焦らされる。いつも積極的にしてくるのに、いつの間にそんな事を覚えたんだか。 「…明日仕事なのでゆっくり時間がある時がいいです。ユウヤさんに無理させなくない」 僕に?無理?思いもよらない言葉に、軽くめまいがする。まてまて…。 「え?本当にやる気だった?」 吃驚したままじっと見つめていると、柔らかい唇が微かに震えていて、笑いをこらえているのが分かった。 「…自分で言い出したのに、嫌ですか?」 もう我慢できない、と言うように破顔して笑い始めた。 そんな冗談まで言うようになったのか、これもタメ口の呪いなのか? 「なんだ、冗談なら…」言いかけた言葉は遮られた。 「僕は入れる方をやったことないし、今からだと準備に時間かかるじゃないですか?だから今日は…」 (だから今日は?) 話しながら唇が近づいてきた。言いかけたままキスを始めたせいで、最後まで聞けなかった。でももういいや、散々焦らされたから。 お互いの上唇と下唇を交互に食むと、お酒のせいで火照った熱が伝わって身体中に染みわたってゆく。皮膚の薄いそこを擦り合わせているとまるでセックスしているかのような気分になる、下半身は全く別の意見みたいだけど。 口を開き唇の間を辿っていた舌を迎え入れて、求めてくるそれに同じ強さで応える。甘え合うように絡める頃にはもう下腹部がぐずぐずと疼きだしていた。 指を髪の毛にしっかりと絡めて僕の頭を固定しながら、星崎くんは好き勝手に口の中に舌を這わせてきた。舌遣いにうっとりしながら、こういうのを侵されるって形容するんだなと頭の隅で考える。 床上のひんやりした空気の中、塞ぎ合っている咥内は熟れたように熱い。 明日仕事だと言っていた人は、もう僕の身体の上に沈み込んでいた。 僕の腹の上には固く勃起した星崎くんの、彼の太腿には僕のが当たっている。 唇は頬に軽く触れてから僕の耳へと移動し、舌が耳殻の溝を辿って耳穴へと捻じ込まれる。その感触に尾てい骨の辺りから前に向かって熱いものがせり上がってくる。名前を呼ぼうと口を開いたのに、耳の後ろを大きく舐められて喘ぎ声が漏れた。 首筋を舌先で舐め上げながら星崎くんが上着をズボンから引きずり出してゆく。くしゃくしゃになった服の下から手が入り込み腰を撫でる。悔しい位僕の弱い所をよく知ってる。 くそう、いつも大人しくされていたのは猫を被っていたのかと思えるくらいだ。 繊細な生地の表面を撫でるような手つきでわき腹から胸に向かってまさぐられてゆく。その感触がいやらしすぎて、もっとして欲しいのに身体が逃げるように反りかえった。 腹筋を掠め中指で臍の輪郭を辿った手がズボンの中に侵入し、触れられるのを待っていた僕の欲望を掌で包み込んできた。 (本気で入れたいの?さっき何を言おうとしたの?) どの質問もさせてくれないまま、片手で下着をずらされて濡れそぼったものを露わにされた。優しい手つきで擦り上げようとするのを遮って星崎くんのズボンと下着をずらすと、窮屈な場所からすっかり勃ち上がったものが跳ね出てきた。 溢れる液体を掬い先っぽの溝の上に指を走らせると、目を瞑って深く息を吐き抱きついてきた。 「ユウヤさん、僕あなたの過去の相手に嫉妬してます…、だから今度本当にやらせてくださいね」 そこまで言われたら、もう頷くしかないじゃないか。

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