あれから約7ヵ月が経ち、今日は卒業式だ 生徒達は、第一志望が叶って晴れ晴れとしている者、惜しくも叶わずまた頑張るために浪人を決めた者、まだ受験が残っていてそわそわしている者、皆それぞれの表情をしている 「15番 高城蒼士(たかしろそうし)」 彼の名前を呼ぶのも最後、そう思って今までで一番気持ちを込めて声を出す、彼が好きだと言ってくれていた僕の声を 名前を呼ばれて立ち上がる彼は、いつも通りな得意げな表情だ 彼は、見事第一志望に合格した 生徒達には合否を担任に伝えるよう言ってあったので、彼も僕には直接伝えてくれた 僕も嬉しかったし、他の生徒にもするように、すぐに彼に祝いの言葉を告げに言ったのだが あの時の彼の反応は思い出したくもないなあ… そう思うぐらい素っ気ない態度だったのだ そもそも、あの、僕の家に彼が来た日からというもの、まともに彼と会話をしていない 授業では全く寝なくなったし、話したと言っても彼が質問をしに来るときと、懇談の時ぐらいだった もう、本当にすっぱり諦められたのだ 別れを告げたのは僕からだけれど、それでも寂しい そう思いながら、友達の中で笑う彼を、これで見納めだと、遠目からしっかり見つめる 明日から彼らは春休みに入る もう、皆と学校で普通に会うことは無くなる 勿論、彼ともだ 自然と流れてきた涙を生徒に見られて笑われたり、一緒に写真を撮ろうという生徒に応えている内に卒業式は終わり、皆それぞれに解散していく 先程、彼が教室を出たのも見届けた ああ…結局ちゃんとしたお別れも出来ないままもう会えなくなるのか… いや、それで良かったのかもしれない だって、今彼と話したら、きっと泣いてしまう なんて考えながら、途中コンビニに寄って大量のビールとつまみを買って家に帰った