12 / 17
そして僕の卒業式2
「3年1組担任 香月樹 」
急に名前を呼ばれ、驚く僕に彼がちらっと視線を向ける
卒業式の真似…かな?
そう思って僕が立ち上がると、彼が続きを始める
「先生は、俺、高城蒼士の先生を卒業します
そして俺はもう、先生の生徒ではありません」
ああ、なんだ、急に家に来てどうしたのかと思ったら…ちゃんと別れを告げるためだったのか
「だから、学校で会うことももうありません」
やめてくれ…どうしてわざわざそんなこと…
「俺たちを繋ぐ関係は無くなりました」
どこかで、小さく心が砕ける音がする
「うん、今までありがとうね、これからも頑張れ?だから…っもう、帰って…」
せめて最後ぐらいは笑顔がいい、そう思って涙は我慢して、彼を玄関の方へ押そうとする
「待って、ごめん、ちょっと意地悪しすぎたね…お願い、最後まで聞いて?」
そう、力強く僕の腕を握りながらも優しい笑顔で彼は言う
「先生と生徒っていう関係は無くなったけど…これからは、恋人っていう関係で
先生と、いや、違うな…樹さんと、一緒に歩んでいきたいんだ」
ともだちにシェアしよう!