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第5話

  やっと終わった…。 「ただいま。」 リビングの扉を開いても、猫達が出てこない為博也が部屋に連れて行っているのだろう。   博也は別室で仕事をしている事と、夕飯はハンバーグだから一緒に食べようとメールが入っていた。 トントン 「おかえり。」 博也の部屋の扉を開け歩み寄る。 「ただいま、ご飯ありがと。まだ時間かかる?」 後から抱きついて、肩に顔を埋める。 「いや、終わったところだ。ハンバーグ焼いてやるから着替えてきな。」   博也が普段あまり掛けない眼鏡を外して、キッチンへ向かった。   暁冬も早めに着替えを済ませて、用意を手伝う。   先に座るように促され待っていると、博也の手にする皿に見たくない物が見えてしまった…。   「うっ……」   ピクっと眉が動いてしまったのは見逃してもらえなかったらしい…。 「どうかした?」 ニヤニヤしながら聞かれて、返答に困る。   「べ、別に…」   「そ?じゃあ食べよっか。いただきます!」 博也はニコニコしながら早々と箸を進めてしまう。   「い、いただきます。」   食事もそこそこ進み、博也に皿を覗かれる。   「あきー。好き嫌いは良くないんじゃない?医者の不摂生って言うでしょ、バランスよく食べないとな?」   意地悪な笑みを浮かべる恋人に泣きそうになってしまった。   「……たべ、ます。」   博也の無言の圧力に負け、渋々ブロッコリーも平らげた。   「ご馳走様でした。」   よしよしと頭を撫でられると悪い気はしなかった。    

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