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第12話
「それは、できない」
紫音くんははっきりと拒否した。
「どうして…?」
「すぐに入れたら、すぐに終わってしまいそう…ももは、すぐに終わらせたいの?」
「…っそうじゃない、けど…」
紫音くんは僕の頬を包み、キスをした。
「ももは、自分をもう少し大事にして欲しい。今まで付き合ってきた人が酷い奴ばかりだったから仕方ないのかもしれないけど、ももは物じゃないんだ。俺は最後まで、ももを恋人として抱きたいんだ」
紫音くんは、優しい人だ。
今までそんなこと言われたことがなかった。
「寂しがり屋で、誰かと一緒にいたくて関係をもってしまうのも分かってる。流されやすくて、お人好し…そんな所も丸ごと愛してる」
アメジストの瞳が少し潤んでいるような気がする。
ぎゅっと僕を抱き締めて、紫音くんは僕の耳元で囁いた。
「ここまで言ったんだから、観念して俺の恋人になってよ…。無期限で」
それって…
「それって、ずっと一緒にいてもいいってこと?もう約束の三年間は終わったのに?」
「うん」と紫音くんは頷いた。
「で、でも、僕みたいなクズが紫音くんの恋人なんて…っていひゃいっ!!」
紫音くんは僕の頬をむにっと引っ張った。
「まーた、ももが卑屈なこと言ってる。言ったでしょ?そういう所も丸ごと愛してるって」
綺麗な顔を改めて見ると、どきまぎする。
こんなかっこよくて、皆からも慕われてて、地位も名誉もあって、これからどんどん成長していくのに…それなのに、僕みたいなクズが好きって…。
さらにむにっと頬を横に引っ張られる。
地味に痛い。
「また変なこと考えてるでしょ?俺はももが好き。流されやすいところはこれから教育していくけどね」
何やら恐ろしいことを言われているが、ちゃんと返事をしなければと思い、返事をする。
「ほふも、ひほんふんは、ふひはよ」
変な発音になったが、紫音くんには伝わったらしい。
「じゃあ、もっとその言葉聞かせてくれる?」
僕も紫音くんも邪魔だとばかりに服をそこら辺に脱ぎ捨てて、まぐわっていた。
頭の先から足先までたっぷりと愛撫をされて、もうすっかり蕩けてしまった。
「紫音、くんっ!もう、我慢できない!!ここに入れてぇ…!」
もっともっと気持ちよくなりたくて、自分から穴を拡げた。
「ももは堪え性がないなぁ…もう欲しいの?」
「欲しぃ…紫音くんの…おちんちん…」
「だったら、復唱して」
もう焦らされてたまらない僕は、早く入れてほしくて、何度も頷いた。
何でも言いますと言わんばかりに。
「私、中森桃也は、」
紫音くんの言葉に僕が続く。
「私…っ中森、桃也は…」
「花森紫音と」
「花森、紫音と…」
「一生を共にすると」
「一生を…共にすると…」
「誓います」
「誓います…って、え!?」
何この、けけけ結婚式みたいな誓いの言葉は!?
「紫音くん、どういう…」
「もう誓ったから、異論は認めません。ちゃんと言えたご褒美あげるね」
紫音くんはずぶっと僕の中に立派なモノを入れる。
「んっあぁ!!」
「中…うねって、ヤバ…もも、動くよ?」
僕は何度も頷くと、紫音くんは腰を打ち付ける。
汗ばんだ二人の皮膚がパンパンと音をたてている。
「もも…っ!こんな…気持ちいい、セックス、初めて…かも…っ」
「あ…っやぁ…!んんっ!ぼ、くも…気持ちぃ…!!」
心が満たされていく。
今までこんなに満たされたセックスはしたことがなかった。
「ぼく、もう…っイきそ…ぅ!!」
この高まっていく快感がたまらない。
「俺も…もぅイく…っ!」
僕ら二人は果てた。
じわっと下腹部が熱くなる感覚は堪らなく愛しかった。
「僕も、紫音くんが…好きだよ…」
熱い吐息の間からするりとその言葉が出た。
「俺も…大好き…誰にも渡したくない…」
紫音くんは、僕の汗ばんだ額にキスをした。
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