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第5話 僕、淫魔です!-Ⅱ- -2-
少し先を歩き出した副団長さんの広い背中を追って、僕は直ぐ後ろを着いて行く事にした。
ああー、副団長さんの腰のライン、良いなぁー。抱きつきたいかもー……。親しくなったら、出来ないかなぁ?
それにしても、僕……目覚めてから衣食住に困らないでかなりラッキーでは?
……嗚呼ッ……嬉しい! 嬉しい! 嬉しい! 嬉しい!
嬉しいから、まだ名前も知らないけど、こちらを見ている傭兵のお兄さん二人に笑顔で手を振っておこう~。
ちょっと驚いた表情をされたけど、二人とも手を振り返してくれた。彼らは多分、普通に"人間"族。
ざっと見た感じ、当然と言うか傭兵団内は"人間族"が大半を占めている様だ。
部屋までの道を副団長さんに色々と案内を受けて歩きながら、僕は嬉しい感情を抑え切れなかった。
そう、僕は傭兵団が所有する"館"に連れて来られたんだ。
どうやらここが本拠地の様で、仲間が全員では無いが、色々な理由から共同生活をしているのだそうだ。
あ。ちなみに僕にもそれなりに"給料"が出るらしく、詳しくは団長さんとこれから決めていくみたい。
皆が働いたお金を僕にも分けてくれるんだ。……これは僕もなるべく満足してもらう為とご飯の為に、すごくガンバねば!
そして連れて行かれた部屋はヒッソリとしていて、使用するには少し掃除が必要かと思われた。
軽く埃を払って、必要そうなら雑巾掛け? ああ、窓も開いて空気を入れ替えた方が良いかな?
ベッドは見た感じそのまま使えそうだから、特に手を入れなくても良いかな?
でも正直どうすれば良いか分からないから、副団長さんと別れた後、とりあえず思い付いた事をしてみた。
そして最後に煤けた鞄を開け、あの廃教会から持ち出した数着のシスター服を皺を伸ばしてからクローゼットに仕舞った。
ほぼ同じ服をあえて着まわす、って妙な拘りを感じてしまうが、僕の場合はそうじゃないから。ある程度お金が溜まったら、服を数着買おうと思う……。そう、男物をね!
まぁ、清楚なシスター服を着こなす男の娘な淫魔……ってもの、ちょっと美味しいかなーとかー。でも誰得。
「―……こんなもんかな?」
そんな感じで事を一通り済ませたと感じた僕は、「ふぅ!」と満足感を含んだ息を吐いた。
そして一息をついた時……
―…………コンコン……
半開きにしていたドアを叩く音で、僕は何も考えずに反射的に音がした方を見た。
「シャル、部屋の具合はどうかな?」
「副団長さん!」
見れば扉にもたれる様して、大きくて平らな箱を持ったエスト副団長が居た。
どうやら仕事後に僕の様子を見に、わざわざ部屋まで来てくれたみたい。
そんな彼を部屋に招き入れて、僕は副団長をベッドに座る様に勧めて、僕もその隣りに座った。
部屋にはベッドとクローゼット、サイドテーブルしかまだないから、僕が副団長をベッドに座らせたのも……別に深い意味は無い。
無いんだけど……。
近くに座った事と彼が纏っている空気から、団長さんとは異なる方向で、『極上の精』を持っていると分かった途端、僕の内面がざわめき始めて……
どうしても欲しくなったんだ……。
…………んだけど、今は会話を……。副団長と会話を……! 仲良く……親しくなりたいんで!! 普通の会話から……ソッチにもってく!
「……あの、部屋の具合は良いです。ありがとう御座います!」
「そうか。これからこのシャルの部屋がどう変化していくか……。好きに使いなよ?」
「はい。副団長さん。えっと、あの……」
「ん? 早速、何か欲しいモノでも?」
「~~~ぅうう……」
あああああ、やっぱりモジモジとしてしまう!
淫魔でも、モジモジしちゃうんです!
でも、欲望に大変忠実な僕は副団長の耳元に顔を近づけてお伺いを立てる事にした。
「……副団長サマは~……、今、大丈夫ですか?」
「……シャル?」
彼の耳元でコショコショと言葉を紡ぎ、僕は彼の耳たぶをパクリとした。
この耳たぶ……、ふにふにてて咥えがいがある……。
何度かふにふにとした後で、再び囁く。
「僕に……くれませんか?」
「……シャル……?」
「……今から僕に、エスト副団長が"ご飯"、下さい……」
そう言いながら、副団長のモノをナデナデ……。おお? おっきそう……。
「副団長さんの、食べてみたい……です」
ここからは淫魔、全開で行きます! 淫魔覚醒です!!
縋る視線をすれば、副団長はやんわり微笑んで、僕の顎を掴んで上を向かせて「良いですよ」と、嬉しい言葉をくれた。
そしてそのまま僕たちは……
「ん、ん……」
「はぁっ……」
浅く口付けを交わしながら、副団長は僕の服を脱がして、僕はそんな彼の上着のボタンを全部外して服下の肌に手を伸ばした。
団長さんとは違う肌……質感、その新しい肌味を覚えたくて、僕は彼の胸、腹を撫でた。
副団長さんはそんな探る僕の手をそのまま遊ばせてくれて……
「副団長さんの、ここ……尖ってます……?」
そうわざと言って、僕は副団長さんの乳首を捏ね始めた。
乳首で遊び始めたイタズラな僕の手をそのまま払いもせず、「……シャル……」とだけ口にしてきた。
それにしても……捏ねくり回した後のぷっくり乳首……吸い易そう……。
ごくり……
…………それじゃ、僕が貰っちゃいますね!
「―ぁ……む。んちゅ、ちゅ、ちゅぅうぅう~~~~!」
「んッ!? ……シャル……ッ」
「んちゃ、ちゅ、ちゅぅ~~……ッ、ぷはっ……! ……んちゅ、ちゅぅ、れろっ、えろっ」
あはっ。エスト副団長の乳首、とっても吸いやすい~。舌で転がしてコネコネにも敏感に反応して、カワイイ。
吸い付きで乳首を"ぐぃーん"と伸ばせば、副団長から熱い吐息が漏れた。
それから"ぱっ"と放して、先端をチロチロと舌先で突き舐めると、副団長は僕の名前を呼んできたんだ。
「シャル……っ?」
切なさそうに僕を呼ぶ副団長の掠れた声、イイ。とても興奮する。
―……だから、早く……僕に精液下さい……
「―……眼鏡……取りますね?」
「ああ……」
僕はこれからの行為の事を考えて、副団長さんから眼鏡を外した。
銀の細いフレームはよく見たら繊細な何やら文字的な細工が施されており……
「伊達、眼鏡……です?」
そう。伊達眼鏡だったのだ。
僕は眼鏡からそんな伊達眼鏡を掛けていたエスト副団長に視線を移し、口をあんぐりと開けてしまった。
この目の前の嘲笑うかの様な不敵さを醸しだしている男が、あの真面目な副団長と共通項目に括るのに数秒掛かってしまった。
「―……真面目に"見えた"、だろ? シャル? くくく……」
「……はい、見えました……。でも、本当の副団長さんは……えっと……? んと?」
「ふふっ……、こっち側が本来の俺だ。普段はその眼鏡で力を幾らか抑制しているんだ」
そう僕に言って、ニンマリ笑顔の副団長さんの瞳は真紅で、上顎の犬歯が通常より伸びていて……
「……吸血鬼、です?」
「ああ、そうだ。俺は吸血鬼だ、シャル」
ほあ!吸血鬼さんでしたか!!さすがあらゆる種族が所属している傭兵団、……です!
「―……普通に"エスト"って呼べ、シャル」
「エスト……」
「そう、この時はそう言え。良いな?」
「……はぃ……」
男前度より、キケンそうな色気度が数段アップしているエスト副団長……その美貌は反則です。溜息、涎モノです。見惚れちゃいます。
…………たくさん、欲しくなっちゃいます……。
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