8 / 32

第8話 僕、淫魔です!-Ⅲ- -2-

結局、リオ……団長さんはもう一個、蒼い玉を瓶に入れて僕の部屋を後にした。 そうして団長さんが帰った後、僕は情事後のシーツを取り、部屋の洗面所にある"籠"に入れた。 洗い物は共同の洗濯場があるから、そこで洗うのだと教えられているんだ。 そこには朝行こうと思うから、とりあえずこれで……良いかな、と。 あ、そうそう、ここでの僕の"仕事"のシステムを簡単に説明するね。 でも僕の場合、『食事=仕事』だからなぁ……。 "食事"は何回でも大歓迎だよ。出会った当初に団長さんに言われた、"底なし"は伊達じゃないのだ。 淫魔としてオープン、かつ、望まれて精を頂けるこの傭兵団での"男娼"は最高です! とりあえず蒼玉をくれる方々は僕を可愛がってくれる。 悶々とした性処理を僕に後腐れなく吐き出して、僕はそれを生命の糧……ご飯として有り難く頂戴する……! 見事なまでに美しく機能した、『ギブ アンド テイク』!! そんなシステムに欠かせないのが"蒼玉"だ。 この蒼玉の役割は『提供回数』。 そして万が一、蒼い玉の数が違う場合は、購入された方を優先して計算されるんだ。 僕はこの"蒼玉システム"は必要無いと言ったんだけど、有った方が僕の身を守る為にも便利なんだって。 僕と"関係"……したって、必ず分かるのが狙いなのだと説明された。 そんな蒼玉は団長さんか副団長さんに話せば、一つから入手可能なのだ。 ただし、初回はタダ……と言っても、事前に一つだけ配ってあるんだ。お試し、ってね! 蒼玉一つは" 3000ビマ"。普通に娼館に行くより俄然、圧倒的に超安い。 だってさ、僕はご飯として必要だから、そんなに高価でもね? 食事として、まぁ……このくらいかなと……。 それに、僕は傭兵団持ちの男娼だから、転戦先にも着いて行きますよ~。 今は遠征の傭兵の仕事は無いみたいだけど、僕は覚悟はしているんだ。 少し話が枝分かれしたけど、まぁ……こんな感じ? 「……うん、清掃完了かな?」 そうして僕は新しい寝具……シーツを整えて純粋に眠る為にベッドに潜り込んだ。 瞳を閉じながら、僕は誰も居ない布団の中でシーツを撫でた。 「…………………………」 そしてシーツをしばしナデナデ。 僕、布団の中に居るんだよな……。 僕は以前の記憶がスッポリ無い。けど、日常生活には困っていない。人に対しての対応も、多分……大丈夫。 記憶が無いのは不思議だけど、自分で"そこ"に足を突っ込んじゃいけない気がする。 そこで僕はこの考えを止めて温くなってきた布団で丸まり、身体の力を抜いた。 ……僕がシーツ等の汚れ物を持って向かった先……。洗濯場に、様々な色が散らばっていた。 色 = スライム。なんだけど。 数匹のカラフルなスライムを連れて、大きめなフード付きの長袖チュニックが萌ソデ気味の人物がポツンと洗濯完了を待っていたのだ。 そして僕はそのスライムにあわよくば触れてみたくて、軽い気持ちで声を掛けてみた。 「わぁ~~。綺麗なスライムだね~」 「……ぇ……? ……あ、ありがとぅ……」 僕が近づいていたの、多分気が付いていなかったんだろうなぁー。驚いた表情をしてるもん。 「僕は淫魔の"シャル"、だよ。宜しく~」 「僕は"スライム使い"のフィリック。……よろしく……」 僕はニコニコ、フィリックはモジモジと自己紹介。 フィリックの年齢は多分、見た目として僕とそんなに変わらないんじゃないかな? 目深に被ったフードから、潤んだ宵色の瞳が僕を見ている。 経歴等は全く分からないが、この館に居るって事は彼も傭兵なのだな。 皆の前で自己紹介は済んでいるけど、個人個人は別。こうしてお近づきせねば。でもさ…… 「スライム……使い?」 「うん。あ、でも……僕はあまり表に出ないから……」 それは本人が? それとも、"職業名"的に? "スライム使い"? ……なるほど? だからこんなに色取り取りのスライムを引き連れているのかー。 「―……あ! フィリック! こんな所に居たのか! 団長と副団長が捜してたぞ! "仕事"の結果を早く聞きたいんだとさ」 「……あ、えと、ごめん……。服の汚れを取るのに手間取っちゃって……」 「そうか。換えは?」 「もう着替えたよ……。"仕事"の徹夜明けで気分転換もしたかったんだ」 「まあ……、なぁ? そうだな。気分転換、したくなるか。…………分かる気がする。スライム使いも大変だな」 どうやら呼びに来た人物は、フィリックの言い分を受けて納得した様だ。 迎えに来た人物は「先に戻る」と短く言って、来た道へ消えていった。多分、フィリックの状況を説明するんだろうな。 僕が消えていった人物の方を見ていたら、その間に洗濯を纏め終えたフィリックに話し掛けられた。 「じゃ……、僕はもう行かなきゃだから」 「う、うん。スライム使いのお仕事、頑張って!」 僕がガッツポーズでフィリックに返せば、彼は少しモジモジしながら口を開いた。 「ありがと、シャル……。……あー……んと……。まぁ、隠す必要も無いね。僕はね、スライム使いなんだけど……」 「うん?」 「同時に傭兵団の中では、ごうも……"尋問"係でもあるんだ」 「ほへっ!?」 い、今、"ごうも"って……!それって、"ごうもん"?拷問なの!??? 「シャルが何か"困った"事があったら、僕が相手に"お仕置き"してあげるね」 「ひゃ!?」 「……まぁ、この傭兵団で僕相手にそんなヤンチャする大人は………………もう居ないけど」 「…………!?」 "もう"、って、過去には居たんですか!?? ヤンチャな大人が!! 僕の目の前でほんわりと笑う穏やかそうなフィリック……。その笑顔で、尋問……? とか、スライムでしちゃうンデスカ!? フィリックの足元や腰のに備えている瓶のスライム達は赤、青、黄色、紫、黄緑、白、黒、桃色……と実にカラフルだ。 ついでに、どれも蜜柑サイズで、それが可愛いと感じる。僕もプニョりたい。平和にプニョりたい。 「う、うん。有難う、フィリック」 一応、お礼を言ってから、僕はちょっとスライムに触ってみたい、と急いでいると分かりながらもお願いしてみた。すると…… 「なら、後でたくさん触らせて上げるよ。シャルの部屋に行って良い?」 「本当!? うん、いつでも良いよ! 僕、部屋で待ってるね!」 そして僕はフィリックに部屋の場所を教えて別れた。 ああ、楽しみだなぁ~~!! よーし! 今夜はぷにょるぞー!! 「ああ~~……ぷよんぷよん……。癒し……っ……!」 この小さなぷよぷよスライムでどう、ごうも……尋問をするのか……やはり疑問が浮かぶ。 プヨプヨしながらフィリックに聞けば、見た目は弱そうでも、特性とかで色々出来るらしいし。 それにフィリックのスライム達は見た目の美しさ……透明感も追求しながら、彼が日々改良と交配を続けた"特別製"なのだそうだ。 そしてそんなスライムのメイン達をフィリックは『ジュエル・スライムズ』とし、今後も強化していく予定らしい。 確かに彼のスライム達はどれも透明感が綺麗だ。宝石に例えるのも分かる気がする。 ちなみに能力等は…… クア…………水系。循環系の体内機能操作が得意。軽度の傷の治療が可能。水色でアクアマリンをイメージ。 リド…………スタン系。雷属性。神経に作用。黄緑でペリドットをイメージ。 トリン……硬度増加。液体を固体に変化させられる。黄色でシトリン をイメージ。 ネット……炎系。発熱。物質の融解、発火。赤でガーネットをイメージ。 クォ…………幻覚、誘惑等、精神系。桃色でローズクォーツをイメージ。 ニキ…………闇系、ダウン効果。やりすぎると精神がヤバくなるらしい……。黒でオニキスをイメージ。 ジスト……魔力貯蓄、魔力吸収、魔力譲渡……が可能。紫でアメジストをイメージ。 オール……強酸、高濃度消毒液持ち、の雑食で綺麗好き。白でオパールをイメージ。 そしてメイン達は宝石の名前を部分的に使用している様だ。 そんな愛するスライム達を興奮気味に説明し終えたフィリックをから漂う……精気。 美味しそうな精気に誘われる様に見れば…… 「フィリック……勃ってる……?」 「え? あ……。……貫徹で疲れて、しかもスライムの会話で昂ったのかも……」 ほう? 一種の"疲れマラ"というヤツですか? 目敏くソレを見つけたのは、僕の淫魔としての性能? ああっ……。それにしても、今は都合良く僕の部屋だし、フィリックは勃ってるし、相変わらず腹ペコだし…… 「あの、さ、フィリックの僕が鎮めても……良い?」 「………………うん。………………願い、しょうかな……? シャルは淫魔だもんね。僕の精……食べてくれる?」 「うん、食べる! お腹空いてるシャルに、フィリックのいっぱい食べさせて!」 これは淫魔的に頑張る! 流れだけど、フィリックは僕に蒼玉を出してきた。 でも、フィリックは初回だから蒼玉は貰わない。 蒼玉をフィリックに握らせてから、僕は彼のペニスを取り出し握り、先走りが出始めているペニスを早速頬張った。 「……僕に……ん、ンちゅ、ちゅ……あむ……む、いつでも僕に出して良いから、ね? ん、んむ……っ。れろっ……れろ、れろ……」 口内と舌でペニスを愛撫しながら、僕はフィリックに告げた。 フィリックは息を荒げながら「ン、ン……」とだけ僕に答えてくれた。 切な気に眉を八の字にして、快感を追っているフィリック……可愛い。 そして僕の口内に放たれた精。 僕はそれをコクコクと飲んで、フィリックの若い精を摂り込んだ。

ともだちにシェアしよう!