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奏斗 4
カナは告白されてはいつもフっていた。
そして女は泣く。
たまにしつこいヤツもいたらしく、どうにか分かってもらおうと頑張って何とか説得するところを見たこともある。
大体のヤツは納得できないと今度は俺のところに来た。
「どうしても柊君のことが諦めきれない。倉橋君から言ってくれないか」と言って。
バカかと思った。
そんなに必死になってもカナはお前とは付き合わないのに。
お前はカナが好きなんじゃなくて付き合って自慢したいだけだろ。
単に「彼氏」が欲しいだけ。
でもさすがにそんなことは言えず、
「カナにだって自分の気持ちはあるんだよ。俺が言ったからって付き合うようなヤツじゃない。それにそんな理由で付き合いたくないだろ?お前いいヤツなんだし、お前のことを好きで大事にしてくれるヤツがきっといるよ」
なんてテキトーなことを言ってとりあえず慰めていた。
最初は普通に断っていたが、しつこく、だんだん機嫌が悪くなって終いには怒るヤツもいた。
落ち着かせようと試しに相手を褒めて慰めると意外と上手くいったから、それ以来そのやり方で諦めさせていた。
そして、
「ナオ、何怒ってんの?」
「怒ってねえ」
「怒ってるじゃん。ムスッとしてさ」
「してねえ」
「そう?」
この頃から俺はどこかおかしくなった。
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