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奏斗 6
なんなんだ。
なんなんだ、これ。
おかしい。
普通じゃない。
友達だったら肩に腕をかけるなんて普通だろ。
なんであんなに。
なんで俺はあんなにー。
あの時の俺は。
『カナに触るな』
「ぅ…!」
違う。
違う、違う。
おかしいおかしいおかしい。
そんなこと思うなんて。
違う。
こんなの、俺じゃない。
怖い。
『カナ』が、怖い。
—怖い。
追い出さなければ。
カナを俺の世界から追い出さなければ—。
カナに嫉妬したヤツでもいたのだろうか。
カナが女は無理、ホモらしいというくだらない噂を聞いた。
ちょうど良かった。
これで俺はカナから離れられる。
カナの周りから人がいなくなる。
「なあ倉橋……噂聞いたか?柊のこと…。
あれ、本当なのか?」
「ああ、 本当だよ 」
そうして奏斗は一人になった。
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