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汚い顔

**** そして俺は奏斗と同じ高校に入学した。 アイツを一人にするために。 「ひーいらーぎくーん。一緒に帰ろうぜー」 一人のヤツが帰ろうとしてる奏斗の前に立った。 奏斗はそのまま通り過ぎようとしたが、俺がその腕を掴んだ。 睨んでくるその顔に笑いながら言った。 「一緒に帰ろう、奏斗」 「ぐっ……はっ…」 「ほら、立てよ」 奏斗は腹をおさえながら地面に蹲っていた。 今の一発、勢い良すぎたのか? 「はい、バンザーイ」 「んじゃ蹴りいきまーす」 奏斗の腹に思いきり蹴りがいれられた。 「がはっ……!」 うわ、痛そう。 容赦ねえな、こいつら。 「ゲホッ、がっ…はっ……」 「おい、吐くんじゃねえぞ」 「まだまだなんだから…さ!」 「がっ…!!」 あ、また蹴りいれられた。 吐いちゃったりしてな。 「ゲホゲホッ……ぅ…おえっ」 あーあ。 吐いた。 「ちょっ、こいつマジで吐いた!」 「うっわ汚ねえ!」 ホントだ。 汚ねえ。 俺は奏斗の頭を足で地面につけた。 ちょうど奏斗が吐いたものがあるところ。 「ぐっ…」 「汚ねえじゃん、何してんの?」 「…っく…」 「なあ、地面汚れたじゃん。掃除しろよ」 「掃除ってマジ?」 「倉橋、鬼畜過ぎだろー」 周りのヤツらは笑いながら言った。 鬼畜とか言ってるけど、別に止めるつもりも無い。 俺は奏斗の髪を掴んで、無理矢理顔を上げさせた。 奏斗の顔は土で汚れ、口の端からは唾液が出ていた。 目も吐いたせいで少し潤んでいた。 「汚ねえ顔」 俺は奏斗の顔を見て、嗤った。 そんな俺に奏斗はずっと、 激しい怒りと憎しみを宿した瞳を向けていた。

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