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汚い顔
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そして俺は奏斗と同じ高校に入学した。
アイツを一人にするために。
「ひーいらーぎくーん。一緒に帰ろうぜー」
一人のヤツが帰ろうとしてる奏斗の前に立った。
奏斗はそのまま通り過ぎようとしたが、俺がその腕を掴んだ。
睨んでくるその顔に笑いながら言った。
「一緒に帰ろう、奏斗」
「ぐっ……はっ…」
「ほら、立てよ」
奏斗は腹をおさえながら地面に蹲っていた。
今の一発、勢い良すぎたのか?
「はい、バンザーイ」
「んじゃ蹴りいきまーす」
奏斗の腹に思いきり蹴りがいれられた。
「がはっ……!」
うわ、痛そう。
容赦ねえな、こいつら。
「ゲホッ、がっ…はっ……」
「おい、吐くんじゃねえぞ」
「まだまだなんだから…さ!」
「がっ…!!」
あ、また蹴りいれられた。
吐いちゃったりしてな。
「ゲホゲホッ……ぅ…おえっ」
あーあ。
吐いた。
「ちょっ、こいつマジで吐いた!」
「うっわ汚ねえ!」
ホントだ。
汚ねえ。
俺は奏斗の頭を足で地面につけた。
ちょうど奏斗が吐いたものがあるところ。
「ぐっ…」
「汚ねえじゃん、何してんの?」
「…っく…」
「なあ、地面汚れたじゃん。掃除しろよ」
「掃除ってマジ?」
「倉橋、鬼畜過ぎだろー」
周りのヤツらは笑いながら言った。
鬼畜とか言ってるけど、別に止めるつもりも無い。
俺は奏斗の髪を掴んで、無理矢理顔を上げさせた。
奏斗の顔は土で汚れ、口の端からは唾液が出ていた。
目も吐いたせいで少し潤んでいた。
「汚ねえ顔」
俺は奏斗の顔を見て、嗤った。
そんな俺に奏斗はずっと、
激しい怒りと憎しみを宿した瞳を向けていた。
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